センシンロボティクスは7月14日、フジタと共同で、オペレータの介在なしに現場内の安全巡視や測量業務を行う建設現場向けの全自動ドローンシステムを開発したと発表した。さらに、実証試験において目視外補助者なし飛行(レベル3)にも成功している。

  • ドローンによる測量のイメージ

このたび開発された技術には、同社が提供する完全自動運用型ドローンシステム「SENSYN Drone Hub」と、フジタが有する建設現場での安全巡視ノウハウや、簡易ドローン測量「デイリードローン」、標定点を設置せずに高精度な出来形計測が可能な「斜め往復撮影ドローン」が用いられている。

同システムの開発によって、指定した時刻に基地からドローンが自動的に離陸し、事前に指定したルートを通って測量と安全巡視を実施後に、自動で着陸および充電まで実施する機能が、建設現場での実用レベルに達したという。

徳島県小松島市で施工中の「令和元-4年度横断道羽ノ浦トンネル工事」において同システムを試行したところ、出来高管理に必要な業務時間をこれまでの4分の1に短縮できたとのことだ。さらに、従来は必要であったドローンの操作と補助に携わる人員2名も不要になることが明らかになったため、省人化にも貢献できるとしている。

同社によると、同技術は現場の出来高測量と安全巡視業務の時間を短縮可能で、業務効率を50%向上するという。さらに日々の出来高を土量推移で把握できるため、工事原価が適正に管理でき、日々の施工進捗が空撮で可視化されることから、施工計画の変更などにも即時対応ができる利点がある。

  • 自動安全巡視での車両検出の様子

同技術は2年前に開発が始まり、同社は複数の現場で実証試験による改良を繰り返すことで、建設現場での運用に対応できるよう機能の向上を行っている。現在はドローンの目視外補助者なし飛行は許可申請が必要だが、将来的には目視外飛行や無人飛行に関する各種規制要件が緩和されることを想定し、今回の無人運用技術の開発に至ったとのことだ。