富士通クラウドテクノロジーズと日本リーテックは7月12日、 山岳地において搬入路の設置や鉄塔建設上不要となる伐採木の胸高直径(成人が立木に並び立った時の胸の高さにおける直径)の算出と樹木の種類の判定をAIが自動で行い、調書の作成も自動化するアプリ開発の実証実験を開始した。

実証実験ではスマートフォン端末にインストールされたアプリが用いられる。アプリを起動し、樹木を撮影すると、木の胸高直径算出と、ディープラーニングによる樹種判定が行われる。位置情報はスマートフォンのGPS機能を活用し記録。富士通クラウドテクノロジーズで開発中のWeb管理画面上にて撮影・収集した画像から必要な画像を選択し、報告書や位置図といった調書を作成できる。アプリは2022年度より現場展開を予定している。

  • 従来業務とアプリ導入後の比較イメージ

日本リーテックはこれまで、電力会社からの依頼を受け山岳地で搬入路の設置や鉄塔建設などを行ってきた。事業者が作業対象エリアの鉄塔建設上不要な木を伐採する際には、地主への補償や樹木の伐採にかかる費用算定のため、木の胸高直径、樹種、位置情報を記録し、調書を作成する調査が必要となる。従来、同調査業務では、定規を用いた1本ずつの胸高直径の採寸や目視での樹木の種別判別、手入力による位置情報の記録、それらの情報を手入力で調書にまとめていたという。

年間2万1100本の木の伐採調査において作業時間は780時間を要し、作業者の高齢化が進む中で、作業工数の削減が求められていた。今回開発されたアプリにより、従来は責任者、測量者、採寸・樹木判定者、記録者の4人で行っていた業務を、責任者とアプリ操作者の2名で実施可能となり、調書作成業務も含めると75%の工数を削減できる見込みだ。