米Snowflakeは6月8日(現地時間)、グローバルイベント「Snowflake Summit 2021」において、クラウドデータプラットフォームの新機能、データマーケットプレイスの機能拡充、パートナーネットワークプログラム 「Powered by Snowflake」の開始を発表した。

これに伴い、日本法人は説明会を開催した。説明会には、アジア太平洋・日本(APJ)地域担当社長を務めるジョン・ロバートソン氏が登壇し、グローバルのビジネスについて説明を行った。

  • 米Snowflake アジア太平洋・日本(APJ)地域担当社長 ジョン・ロバートソン氏

ロバートソン氏は、「われわれは、データウェアハウスやクラウドプラットフォームからデータクラウドへのシフトを支援している。クラウドデータプラットフォームの市場は81億ドルと言われており、データクラウドはさらに大きな市場機会があると考えられる」と述べた。Snowflakeは、クラウド上のデータプラットフォーム「Snowflake」を提供しており、これを「データクラウド」と呼んでいる。

また、ロバートソン氏はグローバルの財務状況について、収益は2億1380万ドルと前年比110%の伸びを見せており、好調であることを示した。また、国内における新しいリージョンとして、今年の第3四半期には東京にMicrosoft Azureを、来年にはAmazon Web Servicesの立ち上げを計画しているという。

国内のビジネスについては、Snowflake 日本法人代表 カントリーマネージャーの東條英俊氏が説明した。東條氏は、Snowflakeが多くの日本企業に受け入れられていると語り、その理由として「Data Volume」「Performance」「Utility Model」 「Instant Elastic」「Ease of Use」の5点を挙げた。

「Snowflakeはデータ量が多くても性能の劣化を起こさず、かつ、スモールスタートで始めることができる。性能もすぐに出る一方、使った分だけ料金を支払えばいいので、ROIが高い。また、秒単位でサーバの増減が可能となっている」(東條氏)

  • Snowflake 日本法人代表 カントリーマネージャー 東條英俊氏

Snowflakeの日本語化については、「日本語Webサイトの拡充」「製品のWebインタフェース」「製品技術ドキュメント」「SnowVillageコミュニティの立ち上げ」は対応が済んでおり、今年の上半期には日本語による技術者の養成トレーニングクラス(有償)の提供が予定されている。加えて、今年の下半期の提供にむけて、日本語によるテクニカルサポートの提供を試験運用している。

  • Snowflake プロダクトマーケティングマネージャー KT氏

Snowflakeの新機能については、Snowflake プロダクトマーケティングマネージャーのKT氏が説明した。KT氏は、Snowflakeの特徴として、転送を前提とする従来の手法と比べてデータ共有を安全に行えることを挙げた。

  • 安全なデータシェアリングを実現するSnowflake

KT氏は、今回Snowflakeは「データプログラマビリティ」「グローバルガバナンス」「プラットフォー最適化」を実現する新機能を追加したと説明した。「データプログラマビリティ」に関する新機能としては、「Snowpark」「Java UDF」「非構造化データへの対応」「SQL API」がある。Snowparkでは、データエンジニア、データサイエンティスト、開発者が好みの言語や慣れ親しんだプログラミング概念を用いてワークロードを構築でき、まずはJavaとScalaがサポートされる。現在はプライベートプレビュー版であり、近日中にパブリックプレビュー版が公開される。

ガバナンスに関しては、クラシフィケーション(分類機能)と匿名化ビューが追加された。クラシフィケーションは、個人を特定できる情報(PII)を指定されたテーブル内で自動的に検出し、タグ付けフレームワークを活用してデータに注釈を付ける。これにより、ロールベースのポリシーを適用してデータへのアクセスを制御することができる。現在はプライベートプレビュー版が公開されている。

プラットフォームの最適化に関しては、「ストレージの圧縮率の向上」「対話型エクスピリエンスのサポート強化」「使用状況ダッシュボードの提供(現在パブリックプレビュー版)が行われた。

加えて、Snowflakeデータマーケットプレイスにおいて、データの提供を開始する。160社以上のデータプロバイダーによって、500種類以上のデータセットを提供する。日本法人ではウェザーニュースが初のデータ提供企業となることも発表された。データの提供者と利用者の双方がシンプルな方法で安全にデータを共有するための新機能として、試用オプションとデータ購入の決済機能の提供も予定されている。

さらに、Snowflakeでアプリケーション開発の全工程をサポートすることにより、企業やアプリケーション開発者がアプリケーションを迅速に提供できるようにするためのプログラム「Powered by Snowflake」の下、BlackRock、Adobe、Instacart、Laceworkが製品を開発しているという。