富士通研究所は3月24日、製造現場の業務変革に向け、ローカル5Gを活用し、広大な工場全体に設置される多数のカメラで取得した大量の映像データを高速に解析可能なシステムの自動設計技術を開発したことを発表した。
今回開発した技術では、これまで高価なGPUを搭載したサーバー上で行っていた映像解析処理を工程別に分割してコンテナ化し、安価なエッジサーバーと、データセンターに集約したGPUサーバーとで効率的に連携させて実行させるという。
さらに、コンテナごとに必要な映像解析処理量に応じたCPUのクロック周波数やGPU能力などのリソース要件を設定できるようにすることで、高速性を保ちながらエッジサーバーとデータセンターに自動的に配備されるように設計することが可能になるという。
今回、組立工場を想定した実験環境において、16台分のFull-HDカメラで撮影した作業員の行動の映像から、組付け作業ミスと運搬物の滞留をAIで検出する映像解析システムを構築。16台のエッジサーバーとデータセンターを連携させたシステムを同技術で設計することで、数秒で作業ミスなどをフィードバックでき、かつサーバーを含むシステム全体のコストを最大3分の1まで削減できることを確認したという。
これにより、各現場のエッジサーバーにおける映像処理の負荷変動をデータセンター側で吸収し、ピーク時を想定したサーバー台数を整備することなく、システム全体のコストを削減できるとしている。今後は、ローカル5Gを導入した工場など、様々な製造現場での同技術の実証を進め、2022年度内に実用化を目指すということだ。