ワークデイは2月24日、昨年8月に日本法人社長に就任した正井拓己氏による2022年度方針に関する記者発表会を開催した。同社はクラウド型財務・人事アプリケーションを提供しているが、同氏は「日本企業では今、人財戦略が転換期を迎えている。デジタルトランスフォーメーションにおいて、人財戦略と事業戦略が連携できていないことが障壁になっており、人財戦略は経営層が取り組むべき課題となってきている。また、新型コロナウイルスの影響で、人材配置を迅速に行うことなどが求められている」と語った。
正井氏は、こうした日本企業の状況に対し、「新型コロナウイルスに対して、ワークデイのソリューションはクラウドネイティブなデータモデルをもとに迅速かつ柔軟な対応が行える。それがワークデイが選ばれる理由と言える。」と述べた。
同社は2021年、日本市場においては、ソリューション、マーケット、パートナーシップを柱としてビジネスを推進する。ソリューションにおいては、「人財管理のクラウドソリューションベンダー」から「財務・人事・プランニングを支援する、エンタープライズアプリケーションプロバイダー」への転換を目指す。ワークデイと言えば、HCMのイメージが強いが、海外ではプランニングおよび財務管理ソリューションも提供しており、これらが従業員情報と結びついていることが同社の強みの1つだという。
財務管理ソリューション「Workdayファイナンシャルマネジメント」は現在、北米を中心に展開されているが、2021年より開始する国内での販売が計画されている。「Workdayプランニング」について、正井氏は「国内でも利用が増えているが、今後はパートナーと共にHCMと連携したソリューションを推進していく」と説明した。
マーケットに関しては、これまで大企業を中心に導入数されてきたが、百人から数千人規模の中規模企業(ミディアムエンタープライズ)への導入を進める。具体的には、「中規模企業に特化した営業チームの体制強化」「中規模企業向け販売形態の導入」などに取り組んでいくという。
パートナーシップに関しては、日本市場向けのパートナーシップ協業体制を強化する。2013年に日本法人を設立して以来、自社で導入プロジェクトを進めてきたが、源氏は200名以上の認定コンサルタントがおり、パートナー主導のプロジェクトが増えているという。今後は、日本企業のDXを強力に支援するパートナーエコシステムの拡充に取り組んでいく。
「HCMはなかなか日本で浸透しないが、その理由をどのように考えている」という問いに対し、正井氏は次のように答えた。
「そもそも、日本ではデジタルトランスフォーメーション自体が進まないという課題がある。その背景を突き詰めると、最終的には企業文化の変革に行き着く。ニューノーマルへの対応を進める中で、人財管理は脚光を浴びることが予想される。また、ISO30414や新型コロナウイルスなど、人財管理にとって追い風となる要素もある。われわれは、日本企業に、欧米での成功事例や国内でのユースケースを紹介していきたいと考えている」
また、競合がひしめくクラウドERP市場に対する同社の優位性については、「バックエンドはそのままで、インタフェースだけ新しく見せているソリューションも多い。しかし、ワークデイはクラウドネイティブなデータモデル、統一感をもったソリューション群によって、ユーザーに統一したエクスペリエンスを提供でき、アジリティをもって人財戦略に対応できる」と、正井氏は説明した。