KDDI総合研究所は1月20日、日本電業工作と共同で、電波を特定方向へ反射できる28GHz/39GHz帯デュアルバンド透明メタサーフェス反射板を開発したと発表した。これにより、5Gや次世代移動通信の超高速・大容量なサービスエリアを拡張することが可能になる。同社によると、同反射板の開発の成功事例は、世界で初めてのことだという。
5Gで利用する28GHz帯や、追加割当候補という周波数39GHz帯などの高い周波数は、超高速・大容量な通信サービスを提供できる一方で、電波の直進性が強く、基地局のアンテナが見通せないビルや樹木の影などに電波が届き難い場所(カバレッジホール)が発生しやすい特徴があるという。このような場所へ5Gサービスを提供する方法として、基地局からの電波を特定方向に反射させてカバレッジホールへ届ける『メタサーフェス反射板』が注目を集めている。
今回両社が開発に成功した同反射板には、導電性フィルムと透明樹脂が用いられ、透明かつ薄型で大型化しても目立ちにくい構造となっている。また、反射板に多層化技術を適用し、反射板を構成する反射素子が両周波数帯で相互に干渉しにくい新たな構造を用いることにより、1枚の反射板で、5Gで利用される28GHz帯と今後5Gへの追加が想定される39GHz帯の両周波数帯への対応を可能としている。
さらに両社は、同反射板を使ってフィールドで実証実験を行い、28GHz帯、39GHz帯ともに設計した方向の電波の強さが強くなることを確認している。KDDI総合研究所は、実用化に向け5Gの超高速・大容量なサービスのエリアを拡張する技術の確立を目指す方針だ。