日本オラクルは11月12日、SaaSの最新動向に関する説明会を開催した。初めに、執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 ERP/HCMクラウド事業本部 善浪広行氏が、SaaSによるデジタルトランスフォーメーション(DX)について説明した。
善波氏は、「DXの重要性は変わらないが、新型コロナウイルスの影響で、DXに対するニーズは変わってきている」と述べた。具体的には、「リモートワークなど新しい働き方への対応」「業務プロセスの自動化」「会計処理の早期化」「サプライチェーン全体における弾力性の確保」「タレント・マネジメントと人の流動性の確保」「販売のデジタル化」「業績シミュレーションとビジネスへの反映」などへの対応が求められているという。
そして、善波氏は「新型コロナウイルスを乗り越えたとしても、DXの取り組みが終わるわけではない」と指摘した。2030年には中国のGDPは米国を抜くと言われており、日本企業は今後、厳しい競争にさらされることになるからだ。こうした中、DXを迅速に推進するにあたって、「SaaSが必要になる」と善波氏は語った。
ご存じのとおり、現在、さまざまなSaaSが提供されているが、「DXを加速させることができるのはオラクルのSaaS。われわれは買収したソリューションも含め、すべてのクラウドネイティブなSaaSに作り替えており、”Pure SaaS”となっている。作り直した結果、ソリューションの網羅性もカバーすることが可能になった。オラクルのSaaSこそ、DXにふさわしい」と、善波氏はOracle SaaSの特徴をアピールした。
そのほか、Oracle SaaSは共通基盤からCX、受発注、生産・在庫、会計、人事などさまざまなSaaSが展開されているため、業務をシームレスに連携することができる。
今年11月11日にはグローリーがキャッシュレス化によるビジネス・モデル変革の基盤として「Oracle Fusion Cloud ERP」、「Oracle Fusion Cloud SCM」、「Oracle CX Sales」の導入を、また、11月12日にはJAFが会員サービス提供に向けたバックオフィスのデジタル化の基盤として「Oracle Fusion Cloud ERP」を導入したことを発表している。
続いて、クラウドアプリケーション事業統括 事業開発本部 ERP/SCM企画・推進 担当ディレクターの中島透氏がサービスの最新機能について説明した。米国オラクルは9月29日、「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning (ERP)」および「Oracle Fusion Cloud Enterprise Performance Management(EPM)」のアップデートを発表している。
中島氏は、今年の9月に行われた機能強化は企業のDXをデジタルテクノロジーで加速すること目的に行われたものであり、機能が強化されたカテゴリーとして、「デジタル・エクスペリエンス」「インテリジェント・プランニング」「業務機能の進化」「業界への対応」を挙げた。
経営管理・会計領域においては、AIやデジタル・アシスタントにより機能強化が図られている。例えば、デジタル・エクスペリエンスに関しては、仕訳の自動判断が可能になっており、空欄や不適切なコードがある管理項目があれば、AIが適切な値を提示するほか、機械学習で異常値を検知し、その対応結果をさらに学習する。
また、インテリジェント・プランニングに関しては、シナリオ・プランニングに対応したほか、「予測」シナリオがデータ・インポート時に自動計算を行う機能が追加された。 Oracle Fusion Cloud EPMの計画・予算とOracle Fusion Cloud ERPのプロジェクト管理の連携も図られている。
サプライチェーン領域においては、デジタル・アシスタントやインテリジェント・プランニングなどの機能が強化されている。例えば、チャットボットを利用することで必要な情報に直接アクセスすることが可能になっており、ユーザーの問い合わせ傾向をマシン・ラーニングが習得する。
加えて、サプライチェーン・プランニングにAIと機械学習が搭載されたことで、 新製品の投入タイミングの最適化など、高度な予測が可能になった。