慶應義塾インフォメーションテクノロジーセンターと慶應義塾大学SFC研究所ブロックチェーン・ラボは10月26日、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、Japan Digital Design、JCB、NTT西日本、BlockBaseの5社と共同で、慶應義塾大学の学生を対象に在学証明書や卒業見込証明書などをスマートフォンアプリへ発行する、次世代デジタルアイデンティティ基盤の実証実験を米マイクロソフトと連携して2020年10月から開始すると発表した。

  • デジタルアイデンティティ基盤 活用イメージ

同実証実験は、大学の教務窓口で身分証明書の提示や書面による諸手続きを行わずに、オンラインで各種証明書の入手を可能にするデジタルアイデンティティ基盤について、機能や標準化などの検証を行うもの。

次世代デジタルアイデンティティ基盤では、名前、住所、年齢などの各種属性に加え、卒業証明書、研修修了証などの各種証明データをオンラインで確実に検証可能とするため、現在標準化が進んでいる汎用化されたデジタル証明書技術Verifiable Credentials(VC)、および特定の企業・組織に依存しない分散型モデルで永続性のある識別子を表現するDecentralized Identifiers(DID)を活用する。

  • シナリオ例:デジタル学生書を身分証明として提示し、学生割引チケットを発行

また同実証実験では、就職活動を行う学生に対してスマートフォンアプリでの卒業見込証明を発行し、採用企業に成績証明書や卒業見込証明書を提供するといった民間企業との連携や、転校や編入に伴う地域・国をまたいだ大学間の情報連携も考慮しているという。

国際的な標準仕様への適合と相互運用を実現することで、オンライン授業で受講生の本人確認が円滑になるだけでなく、学生の取得単位についての大学間の情報連携といった手間を削減でき、将来的には、オンラインショッピングなどにおける決済システムや通学定期などの商用システムとの連携による学生割引の適用など、学生の利便性向上も目指しているとのこと。

同実証実験の内容と今後のスケジュールは以下の通り。

  • 2020年9月:実証実験で活用する試験版ID基盤のトライアル実施
  • 2020年10月~2021年2月:実証実験に向けたID基盤の開発
  • 2021年3月:一部シナリオでの実証実験の開始