NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は10月13日、2020年末に予定されているSub-6帯の周波数帯の実用免許制度化を見据え、スタンドアローン(SA)方式のローカル5G(第5世代移動通信システム)における特長である低遅延通信や、利用用途に応じたQoS(Quality of Service)通信を混在可能とするエンド・ツー・エンドスライシング(E2Eスライシング)機能に関する実証実験を、2020年10月に開始すると発表した。
同社は、ローカル5Gの電波特性試験やアプリケーション試験などに早期に着手するため、2019年度からミリ波帯(28GHz帯)とSub-6帯(4.7GHz帯)の周波数帯及び、NSA(ノンスタンドアローン)方式のローカル5G向けソリューションを使用し、同社のラグビーチームであるシャイニングアークスの練習場であるアークス浦安パークや、ユーザー企業の工場で実証実験を行っている。
今回、これらの実験で得た知見を生かしつつ、Sub-6帯・SA方式の実証実験にも取り組む。ローカル5Gでは、利用する周波数帯域にはミリ波帯とSub-6帯、提供方式にはSA方式とNSA方式など、いくつかの組み合わせがあるが、Sub-6帯・SA方式の組み合わせがローカル5Gシステムの本命だと言われているという。
また5Gの特徴として、高速大容量通信・超低遅延・多数端末接続があるが、これらを1つの5G設備で実現するためにはスライシング機能が必要になる。
今回の実験では、ユーザーの用途やニーズに合わせたQoS通信を混在可能とするE2Eスライシング機能を実装する。これにより、例えば映像のような高速大容量を必要とする通信と、ロボットの遠隔操作のような超低遅延を必要とする通信など、異なる特性の通信を1つのローカル5G設備の中で複数実現でき、ユーザーのデータを最適かつ効率的に流通可能になるとしている。
実験では、エリクソンのローカル5G向けソリューションである「Edge Gateway」を利用し、Sub-6帯及びSA方式を用いて低遅延通信やE2Eスライシング機能の検証を拡充する。
今後は実際のフィールドに配備し、エッジコンピューティング機能やNTT Comのデータ利活用プラットフォームである「Smart Data Platform (SDPF)」と連携した実証実験を展開していく方針だ。
また、今回の実験の1つとして、アークス浦安パークに設置した検証環境を利用し、超低遅延接続の試験を実施する。例えば、ラグビーボールを蹴った瞬間に、超低遅延でエッジコンピューティング上のアプリと通信を行い、即座に角度、初速度、高さ、飛距離を算出する試みを行う。
なお同社は実験内容の一部を、10月14日から10月16日まで開催予定のオンラインイベント「NTT Communications Digital Forum2020」において紹介する予定だ。