オラクルは10月8日、同社とWorkplace Intelligenceがこの夏に実施した、コロナ禍による職場でのメンタルヘルスやリモートワーク、ロボット、AI等についての経営層と従業員の行動に関する調査結果を発表した。

同調査は、7月16日から8月4日にかけて、世界11カ国(米国、英国、UAE、フランス、イタリア、ドイツ、インド、日本、中国、ブラジル、韓国)の12,347人(22~74歳、日本は1,000人)を対象に一般的な質問を行い、職場でのメンタルヘルス、AIテクノロジー、デジタル・アシスタント、チャットボット、ロボットについて経営層と従業員の行動調査したもの。

それによると、コロナ禍の2020年は70%の人々がこれまでのどの年よりも職場でストレスと不安を感じたと回答した。国別では、インド(84%)、UAE(81%)、米国(74%)、中国(73%)、フランス(71%)、ブラジル(70%)、韓国(67%)、英国(62%)、イタリア(62%)、日本(61%)、ドイツ(52%)であった。

このストレスと不安の増加は、世界の従業員の78%のメンタルヘルスに悪影響を及ぼし、ストレスの増加(38%)、ワーク・ライフ・バランスの喪失(35%)、極度の疲労(燃え尽き症候群)(25%)、社交がないことによる気力減退(25%)、孤独感(14%)を生じさせたという。生じたプレッシャーは、業績基準の達成(42%)、退屈なルーティーン作業の処理(41%)、管理不能な仕事量のやりくり(41%)などであった。

職場でのメンタルヘルスの問題(ストレス、不安、極度の疲労)が家庭生活に影響していると回答した人は85%で、その影響は、睡眠不足(40%)が最多、次いで体調不要(35%)、家庭での幸福感の減少(33%)、家族関係の悪化(30%)、友人からの孤立(28%)となった。

リモートワークによって公私の境界がより曖昧になり、35%の人々が以前と比べて毎月40時間以上多く働き、25%の人々が極度の疲労に陥っていることが判明。その一方で、62%の人々はコロナ禍以前の仕事内容よりもリモートワークに魅力を感じ、家族との時間が増えた(51%)、睡眠時間の増加(31%)、作業スピードが上がった(30%)と回答している。

また、82%の人がメンタルヘルスのサポートを人よりもロボットに頼りたいという回答した。その理由として、ロボットは「ジャッジメント・フリー・ゾーン」を与えてくれる(34%)、問題を共有する上での先入観のない感情のはけ口を提供してくれる(30%)、医療に関する質問に迅速に回答してくれる(29%)となった。

仕事上のストレスや不安を上司よりもロボットに話したいと回答した人は68%で、ロボットをセラピストまたはカウンセラーとして利用することを受け入れる人は80%であった。

仕事でのメンタルヘルスの改善にAIが役立ったという回答は75%で、AIの利点として、仕事の効率化に必要な情報の提供(31%)、作業の自動化と仕事量の削減による極度の疲労の防止(27%)、仕事の優先順位付けによるストレスの軽減(27%)があがっている。

また、AIは過半数の労働者(51%)の週間労働時間の短縮とより長い休暇の取得(51%)にも貢献し、回答者の半数以上がAIは従業員の生産性(63%)、仕事の満足度(54%)、全体的な幸福(52%)を向上させていると考えていることが判明した。

自分の会社が今以上に従業員のメンタルヘルスを守る必要があると回答した人は76%で、新型コロナウイルスの結果としてメンタルヘルスのサービスまたはサポートを追加したと回答した企業は51%。従業員の83%が、メンタルヘルスのサポートのために自身の会社がテクノロジーを利用することを望んでいるという。

さらに、労働者の84%がリモートワーク中に問題を感じており、その主な要因は、公私の区別がつかないこと(41%)やストレスや不安などのメンタルヘルスの問題の深刻化への対応(33%)であった。42%が職場でのストレス、不安、または極度の疲労によって生産性が低下したと考え、40%はそれが誤った判断の増加につながると考えているという。また、85%は仕事に関連するストレス、不安、極度の疲労は家庭生活に影響を与えると考えていることも明らかとなった。