日本電気(NEC)は9月17日、日本テレビ放送網(NTV)に、地上波放送のインターネットライブ配信の効率的な運用を実現するという「地上波ライブ配信エンコーダソリューション」を納入したと発表した。新システムは、2020年10月から順次稼働を開始する予定だ。

  • システムの構成

地上波放送のライブ配信では、CM枠に関する対応や、権利処理に問題が残る番組への「フタ被せ処理」などが必要。放送局は、こうした多様な処理についてできる限り簡便かつ自動的に処理し、運用効率向上を実現する仕組みを求められていたとのこと。

同システムは、テレビ放送信号のARIBアンシラリデータを直接処理し、マスター送出システムや配信プラットフォームとの連携を1台のエンコーダで可能にする。これにより、日本テレビでは既存の放送設備への影響を最小限に抑えつつ、ライブ配信の運用効率化を実現するとしている。

同システムの特徴として同社は、1.システム構成の効率化、2.CMの差し替え運用の自動化、3.音声モードの自動検知によるダウンミックス処理の3点を挙げる。

システム構成の効率化に関して、従来はSCTEインサータや音声ダウンミックス装置などの複数の放送機器が必要だったが、同システムではエンコーダ1台で配信プラットフォームと連携し、システム構成を効率化する。

配信プラットフォームで幅広く採用している、CM挿入タイミングを通知する規格であるSCTE-35に準拠しており、ネットキュー信号と連携した送出が可能だという。

CMの差し替え運用の自動化については、エンコーダはネットキュー信号に連携し、フレーム精度でのCM枠の自動フタ被せ処理を行うと共に、配信プラットフォームに対してCM差し替えに必要な情報をSCTE-35信号で通知する。

SCTE-35へ設定するパラメータは、エンコーダのGUIまたはWeb-APIで設定可能とのこと。 エンコーダのネットキュー信号処理は放送局の要件に合わせて柔軟に対応でき、番組の差し替えなど、運用の拡張が可能としている。

音声モードの自動検知によるダウンミックス処理に関しては、テレビ放送信号のARIBアンシラリデータの音声モードを自動検知し、インターネット配信形式に合わせてダウンミックス処理を行うとのこと。