EGGS'N THINGS JAPAN(以下、エッグスンシングス)は7月27日、With コロナ時代の飲食業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するための構想として、“Customer Along Service”(以下、CAS)を発表、その一環として、次世代デバイスやAI、RPA技術開発を手掛けるウェルヴィルと共同開発した完全非接触・自律対話が可能な「AI アバターレジ」を 2020年10月より店舗にて実証実験を開始する。

  • 左から レター代表取締役 久木田敬志氏 エッグスンシングス代表取締役 松田公太氏 ウェルヴィル最高技術責任者 樽井俊行氏

新型コロナウイルスの影響により、テイクアウトやデリバリーサービスの利用が増えたが、これらはこれまで店舗で提供してきたサービスを場所を変えて届ける代替策であり、飲食業界では店舗でリアルな食体験を通じた豊かさを味わえることが求められているという。

エッグスンシングス代表取締役 松田公太氏は「コロナ禍において外食産業が生き残っていくには『食のDX化』が重要だと考える。生産性を上げるためにAIやRPAをはじめとしたITを駆使する必要がある。それと同時に、人と人とのコミュニケーションでしか生まれない温かみがあるので『食のホスピタリティ』も重要だ」と述べた。

  • エッグスンシングス代表取締役 松田公太氏

「AIアバターレジ」では、来店客が店員の代わりにモニターに映っているアバターと会話をすることで、タッチパネルを操作することなく料理を注文することができる。注文を受けるだけでなく、合計金額の計算、精算処理、調理指示などの業務も行う。

「AIアバターレジ」はウェルヴィルが開発した対話エンジンを搭載しており、客が発言したシナリオの回答通りでない内容を理解して応答し、注文に至るまで会話のみで誘導することが可能。また、映像解析技術を搭載しており、来客の性別年代に合わせた商品を勧めることができる。

  • AIアバターレジ

さらに、店舗スタッフがAIアバターに対して話しかけることで、店舗ごとに異なる応対を学習させることができ、将来的にはスーパーの無人レジのように自動支払い機能も搭載する予定だという。 「システムに表示されているアバターは実際のスタッフをもとに製作しており、次のステップとして、多くのスタッフをもとにしたアバターを順次作成し、顧客の特性に合わせたアバターで対応することも検討している」(松田氏)

一方でエッグスンシングスは、CASの一環としてEggs'n Things および Eggs'n Things Coffee各店舗でテスト導入中の「事前注文システム」、「テーブルオーダーシステム」、「カスタマートラッキングシステム」を、レターより提供すると発表した。

  • 事前注文システム

「事前注文システム」は、オンラインで時間指定・注文・決済し店舗でテイクアウトができるシステム。客はテイクアウトでの待ち時間を削減でき、店舗側も調理タイミングを可視化することによって店舗オペレーションを円滑にし、ピーク時には受注数の調整をかけることが可能になる。

  • テーブルオーダーシステム

「テーブルオーダーシステム」は、入店後テーブル上にあるQRコードからメニューを読み取ってオンラインで注文・決済できるシステム。どのテーブルからオーダーされたかを把握することができるため、店員と客の接触機会は「料理提供時」のみとなり、店舗の省人化や席回転率向上につながるとしている。テスト利用では、来店客の約23%が利用、注文・会計にかかる時間を月間250時間削減できたという。キャッシュレス決済のニーズの拡大に合わせて、今後も利用客が増える見込みとしている。

  • カスタマートラッキングシステム

「カスタマートラッキングシステム」は、来客の行動を確認可能なコイン状の端末を渡すことで、どのテーブルに座っているかを店舗従業員が店舗のタブレット上で把握することができるシステム。これにより、来客はブザーで呼ばれたり番号を照合したりして商品を取りに行く必要がなく、従業員側も注文先のテーブルを探す手間などが軽減される。

今後、カスタマートラッキングシステムはバージョンアップを予定している。コイン状の端末ではなく、同システムが内蔵されているタンブラーを販売し、利用客がそのタンブラーをリユースすることで、提供時の座席位置の確認だけでなく、個人の味覚に関する情報の蓄積、キャッシュレス会計も可能になるという。

各システムの価格については、「事前注文システム」と「テーブルオーダーシステム」については月額2,3万円、「AIアバターレジ」は削減できた人件費の半分程度を想定しており、「カスタマートラッキングシステム」は未定とのことだ。