NTTドコモと竹中工務店は7月14日、建築現場における「人」の活動に焦点をあてた生産性向上を目的に、デジタル変革の共同検討に着手すると発表した。
今後両社は、現場起点のデジタル変革の推進に向けた各種ワーキンググループを設置し、 竹中工務店が有する建築現場の知見と、ドコモが有する IoT や AI、XRなどの知見を連携させて、建築現場の働き方の新たなスタンダードモデル構築をめざすという。
竹中工務店 取締役専務執行役員 篠井大氏は、ドコモとの連携について、「建築現場ではロボット、IoT、AIによって業務改善を進めている。また、ワークライフバランスや新型コロナウイルスの感染予防の観点からも新しい働き方が求められており、デジタル技術による業務改善は近々の課題だ。ただ、建築現場では、個人のスキルやアナログのコミュニケーションに依存しており、デジタル技術による業務改善は他の産業に比べ立ち遅れている。そこで両社は、建築現場の最前線で働く人に注目し、働き方の新たなスタンダーモデルの構築を検討課題とし、デジタル技術を活かしたワークスタイルの変革の実現を目指す。また、優れた技術を持ったスタートアップとのアライアンスも深めていく」と挨拶した。
両社が取り組むのは、協働の支援と個人活動の支援。
協働の支援では、全員集合/解散による情報伝達の不十分さや移動待機時間の効率化目指し、「デジタル朝礼」を導入。デジタルサイネージやスマホに配信し、時間と場所を分散しながら安全に関する周知を徹底するという。
また、過去の事故事例と予防策をスマートフォンで参照できるようにして、デジタルKY(危険予知)に役立てるという。
そのほか、工程計画、工事の進捗を共有し、機材、資材、空間、人の事前段取りに活用。工程進捗の円滑化を実現するという。
「個人」の活動支援では、AIエージェントにより、情報更新を自動配信したり、どこにどんな情報があるのかをサポートする。
それより作業者に最適化された情報の取得・配信を行い、生産工程の効率化、パフォーマンス向上を図る。
また、工程に大きな影響が出る重要な段取りや、期日までに確実に対応すべき日々のタスクを「ToDO」として管理して、フォローアップ。作業忘れを防ぐ。
さらに、バイタルデータ、位置情報により体調や作業効率を把握し、個人にフィードバックしていくという。
具体的には、「モノ」の位置、工程表、心拍数、チャットなどのデータをを人間行動モデルを基準にリスクや歩掛 (ぶがかり)などに指標化し、新たなビジネス価値を生み出していくという。
NTTドコモ 常務執行役員 法人ビジネス本部長 坪内恒治氏は、「今回の協業により、デジタルを活用した働き方のスタンダードモデルとなり得る優れたソリューションを早期に実現したい」と語った。
両社は今後さまざまなPoCに取り組み、効果があったものの運用ルールを策定。早ければ、年内にも部分的にソリューション提供を行っていくという。