日本マイクロソフトは6月16日(日本時間)、テクニカルカンファレンス「de:code 2020」をスタートした。もともとは5月に行われる予定のイベントだったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現状を考慮して、オンラインのデジタルイベントとして形を変えて開催されることになった。開催期間は6月16日から30日までの14日間で、インターネット上に設置されたバーチャル会場において、スポンサーブース展示やセッションのストリーミング配信が提供されている。バーチャル会場の様子はこちらのレポートを参照いただきたい。
基調講演をはじめとするセッションの配信はすべてオンデマンド形式となっている。配信が開始される日付や時間はセッションごとに異なるが、一度配信が始まったセッションは、最終日まで好きな時に視聴できる。一般セッションはテーマごとに8つのトラックに分けられており、合計で100以上のセッションが提供される。
行動力のある人の熱い情熱が社会を変える
基調講演は、初日のイベント開始時から配信が始まっている。テーマは「Power of Tech Intensity」。冒頭で登場した日本マイクロソフトの代表取締役社長 榊原彰氏は、いま世界が直面しているCOVID-19をはじめとする危機に対して、これを乗り越えていくには"Tech intensity"を高めていくことが重要だと語った。
これまでにも我々は、いくどもの経済ショックや自然災害といった危機に直面し、それを乗り越えてきた。COVID-19なども必ず乗り越えることができるだろう。しかし、社会の課題は年を追うごとにより複雑、かつ領域複合に向かっており、解決策は単純ではなくなっている。そこで、いま求められているのが、新しい現実に対応した新たな社会規範の構築である。
人々の行動は、新しい社会規範のもとで大きく変わっていくことになるだろう。それを可能にするには、人々の行動変容を前提とした社会のスマート化が必要になってくる。ここで言うスマート化とは、単にスマートホームやスマートデバイスを使いこなすというだけの意味ではない。「公共基盤や社会インフラ、サービス基盤など、社会を構成するあらゆる層で、ITの力を十分に発揮していくことが必要になる」と、榊原氏は指摘する。
de:code 2020では、この課題に対するマイクロソフトのさまざまな取り組みが紹介されるが、その対象は開発者をはじめとするITに携わるすべてのエンジニアだという。昨今のIT業界には、プロの開発者やエンジニアにとどまらない、さまざまな立場の人々がITを駆使して課題解決に取り組もうとしている。「行動力のある人の熱い情熱によって社会が変わっていく、その過程を我々は目の当たりにしている」と榊原氏は言う。
そこで鍵になるのが、基調講演のテーマである「Tech intensity」である。「Tech intensity」とは、テクノロジーを素早く適用していく「Tech adoption」と、その適用を進めるためのスキルや人材、選択肢によってつくられる「Tech capability」の組み合わせから成る造語とのことだ。そこに、テクノロジーが社会に受け入れられるための信頼性も加わることで、Tech intensityはより高まっていく。
榊原氏は、新しい世界に対応するには、さらにもう1つの要素が重要になると言う。それが情熱だ。Teck intensityに、テクノロジーで社会を良くしていこうという人々の情熱が加わることによって、初めて社会の変革につながっていくということだ。
de:code 2020では、そのような情熱を持った人々を、マイクロソフトがどのようにバックアップしているのかを知るよい機会になるだろう。基調講演では、その中でも特に「Azure/DevOps」「Power Platform」「Microsoft 365」「Security」「Mixed Reality」の5つのテーマで、同社の取り組みが紹介された。