三菱電機は6月3日、同社のAI技術「逆強化学習(※1)」を活用し、人の操作を少ないデータで模倣学習し、人が操作しているような自然な動作を機械が実現する「人と協調するAI」を開発したと発表した。
例えば、「道を譲る」などの人が行った協調動作の操作データを収集し、生産・物流現場でのAGV(無人搬送車)にシミュレーター上で逆強化学習により模倣学習させることで、自ら周囲作業者の作業の妨げにならないように動く。同社の実験によると、人と機械が混在する環境での作業効率が従来と比べて30%向上したという。
また、AGVは、周辺の画像と人による運転操作データに基づいた模倣学習を実現し、同社の実験によると、従来のAI技術「教師あり学習(※2)」と比較して10分の1以下の運転操作データで学習が可能になるとのこと。
同社は、「今後、作業の効率化あるいは作業者間に一定の距離確保が求められる場合など、AGVの利用増加が想定される生産現場や物流現場をはじめ、人と機械が混在する作業環境での実運用や自動運転への適用に向けて、開発に取り組んでいく」と述べている。
(※1)熟練者の最適な操作を基に、試行錯誤で自ら最適な操作を推定・学習するAI技術 (※2)熟練者の最適な操作そのものを模倣学習する方法