UiPathは5月27日、エンドツーエンドでの自動化を実現するハイパーオートメーションを実現するための4つの新製品、「UiPath Process Mining」、「UiPath Automation Hub」StudioX」、「UiPath Orchestrator」を発表した。
「UiPath Process Mining」、「UiPath Automation Hub」の2つは、ロボット化できる業務を発見するためのツール。
「UiPath Process Mining」は、情報システム・CoE などがシステムの情報を利用してAIを活用するワークフローを自動化分析するアプローチを行うもの。グローバルではすでに提供されているが、英語版以外では初めて日本語にローカライズされた。分析に対応するシステムは50個以上あるという。
「UiPath Automation Hub」は、全社的なRPAプロジェクトを推進するためのコミュニケーションツール。全社から自動化のアイデアを集約し、アイデアに賛同する場合は「いいね」ができる。これによって、開発部門はどの部分の業務で自動化のニーズが高いのかが判断できる。また、提案者の自動化の貢献度をポイント化や、アイデアの数、工数の削減効果の可視化も行う。
「UiPath Automation Hub」の主な機能として、社員から寄せられる案件の選定と、自動化状況の進捗管理、ROIシミュレーターによる案件の優先順位付け、プロセス手順書など、業務自動化ドキュメント管理機能、再利用可能なRPA開発用コンポーネントを企業内で管理・共有、企業内コミュニティ、 自動化による効果を可視化するパフォーマンスダッシュボードの機能がある。なお、「UiPath Automation Hub」は、業務をキャプチャーできるTask Captureと同じライセンスで提供する。
「StudioX」は、現場で業務を行うビジネスユーザーでも業務の自動化ができるRPA開発ツール。従来の「Studio」をよりUIをシンプルに、現場の人が簡単に手軽に使えるように必要な機能だけに絞ったという。今後は、「Studio」はRPA開発者向け、「StudioX」は業務部門の従業員向け製品として展開していく。
「StudioX」では、アイコンや簡易説明付きのカードを配置してアクションを並べるだけでワークフロー作成が可能で、UIレコーダーを使って対話型で自動化を実現。3つのエンジンを利用して止まりにくい、設計を解析して問題点を検出する、複数のアプリを組み合わせた操作もワンアクションで自動化、ベストプラクティスをまとめたテンプレート提供、管理者によるポリシー設定といった特徴があるという。
また、初心者がとっつきにくい変数も、Excel で直接セルを指定して 読み出し、Excel で直接セルを指定して書き込みなど、Excelのセルで変数を代替することで、変数につまづかずに自動化が可能だという。
UiPath ソリューション本部 エバンジェリスト 大森俊秀氏は、「Automation HubとStudioXで、現場部門が一気通貫で自動化できるようになる」と語った。
「Studio」と「StudioX」は互換性があり、「StudioX」で作成したものを「Studio」で編集し、さらにそれを「StudioX」に戻して編集できるという。これにより、高度な処理だけ開発者に任せて組み込んでもらうといったことが可能になるという。また、「Studio」で作成した共通部品を「StudioX」で利用できる。
「UiPath Orchestrator」は、ライセンスの権限管理や、ロボットの稼働状況、エラー発生状況の把握などの管理機能がひとつになったSaaS版のOrchestrator。
SaaS版のため、サーバの構築が不要、接続端末数に応じたライセンスなので、少数でも利用しやすい、常に最新状態に更新されているなどのメリットがあるという。
UiPathは、今年度よりパートナープログラムのさらなる強化のため、パートナー企業各社との共創プログラムを展開。その一環として、パートナー企業各社と協働で「StudioX」と「SaaS版Orchestrator」を初期導入用にパッケージ化した「スモールスタートパック」を提供する。これによりエンタープライズ向けのみならず、中堅中小企業へのRPA導入も推進していくという。
UiPath 代表取締役CEO 長谷川康一氏は発表会において、「UiPathは、RPAのマーケットリーダーになり、RPAはもっと早く成長しているソフトウェアで、その中でもっとも早く成長している企業はUiPathだ。RPAのプロジェクトはロボット作ることではなく、ロボットを使いこなせる人材を育て、その人材が活躍できる組織をつくることだ。それを日本をのお客様から学んだ。日本はUiPathの中でも戦略的に重要なエリアで、グローバルの中で20%の売上がある。UiPathは、開発、管理、実行の4つの製品で始まった。これからは、ロボット使いこなす人材を育てるための発見、協働、測定を支える製品も提供していく。それによって、高度な自動化を実現する。2020年のフォーカスはクラウド化だ。ハイパーオートメーションの価値をクラウド化する。その第一弾がクラウド版のOrchestratorだ」と、今後、クラウド化に注力すると語った。
なお、同社は同日、自社クラウドサービスでRPAプラットフォームを提供する「UiPath Automation Cloud for enterprise」の正式提供も開始した(昨年6月にパブリックプレビュー版が発表された「UiPath Enterprise Cloud Platform」の名称が新しくなったもの)。これは、Azureの国内データセンターを利用したものだという。なお、SaaS版のOrchestratorは、Automation Cloudの中の1つのサービスとして提供される。