米Citrixは4月1日(現地時間)、COVID-19による感染拡大の継続に伴うテレワークの調査結果を発表した。同社によると、テレワークはもはや実験ではなく、多くの国において必要なこととなっており、大きな社会変革をもたらすものの、従業員の半数以上がテレワークに順応してきており、新しい常識になると考えていることが明らかになったという。

CitrixのChief People Officerであるドナ・キンメル(Donna Kimmel)氏は「テレワークは通常通りの仕事ではありません。まったく新しい考え方や業務形態が必要とされ、従業員や企業は、新しい働き方に合わせることに困難を覚える場合もあります。しかし危機下においても業務は通常通り進めなければなりません。OnePollの調査結果で明らかになったように、従業員に適切なツールを提供している企業はテレワークへの移行を進めることができ、その結果、従業員に最高のパフォーマンスを発揮できる力を与え、状況が改善したときには、より大きく進歩を遂げることができるでしょう」と述べている。

テレワークは大半の従業員にとっては新しい概念であり、調査を行った6カ国1万人の従業員のうち、コロナウィルス発生以前に週1日以上で在宅勤務を行っていたと回答したのは半数以下だったという。米国は33%、フランスは26%、オーストラリアは34.4%、ドイツは42.6%、イタリアは22.1%、英国は45%となった。

また、上記6カ国の回答者が経験した課題のうち上位3つは「同僚からの孤立」「対面による直接的なやり取りの欠如」「仕事と私生活を分けることの難しさ」となった。

さらに、オフィスでの仕事において生産性を妨げる要因は数多く存在するが、大多数の従業員はテレワークで適切なツールを利用できれば、オフィスで働いている時と同じかそれ以上で仕事に集中して生産性を発揮できると考えているという。オフィスにいる時と同じ時間、またはそれ以上働いていると回答した割合は米国が77%、フランスが60.9%、オーストラリアが80.8%、ドイツが76.2%、イタリアが70.8%、英国が68.2%となった。

加えて、すべての国の半数以上で生産性レベルが同じかそれ以上であると回答しており、米国が69%、フランスが62.9%、オーストラリアが69.6%、ドイツが74.2%、イタリアが78.9%、英国が62.7%となる。

キンメル氏はテレワークのための適切なツールについて「世界最高のテクノロジーを手に入れることはできます。しかし、それを習熟するためのリソースを提供しなければ、従業員はそれを使いこなすことができず、生産性の高い仕事を続けることはできません。これには、ホームオフィスを準備するためのヒントや、家庭での役割分担に合わせて柔軟な業務スケジュールを認めることも含まれます。ビデオ会議やチャットアプリを活用すれば、より豊かなコミュニケーションが可能になります。実際でのオフィスのように上司に質問したり気持ちを発散したりするために立ち寄ることができるバーチャルな『オフィスアワー』を設けることも効果的です」とコメントしている。

このことはOnePollの調査でも裏付けられており、回答者からは新しい勤務モデルに慣れるため重要なこととして「専用の物理的仕事スペース」「仕事に必要なすべてのシステムとアプリケーションに容易にアクセスすることのできる、シングルサインオンによるデジタルワークスペース」「仮想ミーティングやビデオチャットなど、よりパーソナルな形で同僚とのやり取りやコラボレーションを行える手段」「上司からのより定期的なガイド/フィードバック」を挙げている。

COVID-19のパンデミックはテレワークの強制的な実験をもたらし、テレワークを検討しようとしなかった企業も現在では行わざるを得ない状況に直面していると指摘。テレワークはこれらの企業が好んで取り入れるものではないかもしれないが、回答者の大半はこれが未来の仕事形態であると考えており、危機が収まった後に在宅勤務が一般的な存在になると思うかとの質問に対しては、すべての国の3分の2の回答者がそう思うと回答しているという。

キンメル氏は「世界は間違いなく変わりました。そしてテレワークが現実にニューノーマル(新しい常識)になろうとしています。変化を受け入れて対応するためのツールと自信、そして信頼を従業員に提供する企業文化を創り出した企業は、この厳しい時期を乗り越え、また状況が改善した時点にはさらに発展することのできる位置に自らを置くことが可能です」との認識を示している。