北海道大学と東日本電信電話(NTT東日本)北海道事業部は3月25日、「スマートイノベーションラボ札幌」を使用する共同実験を2020年4月に開始すると発表した。具体的には、動物園飼育の高度化と手話翻訳の自動化に関する実験を実施する。

北海道大学は、AI(人工知能)映像解析技術を使用した動物の行動解析や手話の自動翻訳の研究を進めており、NTT東日本は、自社保有の通信ビルなどのアセットを利用し、AIやIoT(モノのインターネット)技術の社会実装に向けたPoC(実証実験)環境としてスマートイノベーションラボ 札幌を札幌市内に開設している。同環境は、AIの学習モデル作成に特化した専用サーバを配備し、AI学習に必要なデータを高速に処理できるという。

AI学習・推論に同環境を使用することで、研究促進及び技術の実用化による地域活性化に貢献することを目的に、両者が共同実験を実施するとしている。

動物飼育の高度化実験では、札幌市円山動物園で飼育・展示しているゾウの状況をカメラで観察し、画像情報のデータ化により動物の行動をAI分析する。同実験では、生態分析に有益な客観的情報の収集、異変時の早期把握による迅速な対処、獣医や飼育員の業務高度化を目指す。

  • 動物園飼育の高度化実験のイメージ

手話翻訳の自動化実験では、手話を必要とする病院・薬局・観光地などにカメラを設置し、低遅延かつセキュアな通信環境下でAIによる手話翻訳を行うことで、スムーズなコミュニケーションを実現する。

同実験では、コミュニケーションの充実及び、病院、薬局、観光地などにおける手話要員確保等の負担軽減を目指す。

  • 手話翻訳の自動化実験のイメージ

両実験において、北海道大学はAIアルゴリズムの研究及び実証フィールドの検討を、NTT東日本はAIサーバ環境(スマートイノベーションラボ)の提供及び低遅延かつセキュアな通信環境の提供を、それぞれ担う。