凸版印刷は3月17日、同社の消費行動研究室が提供する調査手法の新たなラインアップとして、消費者の購買行動時の生体反応を分析する脳活動計測技術を活用した調査メニューを消費財メーカーに向けて提供を開始した。なお、調査メニューの提供開始に先立ち、複数のメーカーに採用されている。参考価格は350万円(サンプル数、検証内容により変動)~。
新しい調査メニューは、東北大学と日立ハイテクのジョイントベンチャーであるNeU(ニュー)の提供する携帯型脳活動計測装置を活用した消費者インサイトを分析する調査。脳血流を計測することで、前頭前野において脳血流反応を示したカ所の活動状況を把握し、数値化することを可能としており、消費者が商品や売り場に対して感じる言葉では表現が難しい直感的な感覚や無意識的な反応を定量化・可視化するという。
また、同社がこれまで提供してきた消費者の購買行動把握のためのインタビュー/アンケート調査と、購買行動時の視線の動きを記録・分析するアイカメラを使った行動視察などの調査メニューと組み合わせて提供する。これにより、商品パッケージやPOPなどの販促ツールが商品選択・購買決定にどう機能しているか、これまでの視線解析の知見に加え、脳活動を可視化することで深い検証が可能とし、これらの調査で企業における商品開発や販売促進活動を支援するとしている。
主な特徴として思考・創造・意思・計画などを司る前頭前野の購買行動時の脳活動を「注目」・「思考」の2指標で測定し、アイカメラで取得した消費者の視線データとあわせ、なにを見てどのような反応を示したのかを解析する。
分析結果から商品パッケージ・販促ツールの効果を検証するだけでなく、同社の多様なマーケティングソリューションと連携し、消費者の購買意欲を喚起する店頭販促ツールの開発や売り場作りなど店頭ソリューションの提案まで行う。
さらに、NeUの脳活動の見える化技術「fNIRS」(functional near-infrared spectroscopy:機能的近赤外分光法)は脳の直感的な反応を数値化し、客観的・定量的な評価を提供している。加えて、同社が開発した携帯型脳活動計測装置は微弱な近赤外光を使用しており、赤ちゃんから高齢者まで安全な計測が可能なほか、小型・軽量のため被験者に負担をかけることなく、実際の店舗内など限りなく日常環境に近い状況での調査を実現するという。
今後、凸版印刷は調査メニューを消費財メーカーへ向けて商品開発・販売促進などのマーケティング領域での活用を中心に拡販し、2020年に関連受注を含め約15億円の売り上げを目指すと同時に、商品の使い心地や商業・公共施設のUD診断などにも活用できるように開発を進めていく。