ICT総研が2月4日に発表した「2020年 サブスクリプションサービスの市場動向調査」によると、2019年のサブスクリプションサービスの市場規模は約1.1兆円であり、2023年には2019年と比べて26%増の1.4兆円に拡大する見込みという。

  • 市場規模の推移

2019年の同市場を分野別に見ると、スポーツジム、ファッション、美容、飲食店、教育、ソフトウェア、その他のサービスなどの「サービス・健康・教育」領域が5330億円で全体に47%を締めた。

各種物品や飲食物の定期購入、カーシェア、自動車等の定額利用などの「物品購入・レンタル」領域は2060億円で同18%、音楽配信、動画配信、電子書籍、デジタルニュースなどの「デジタルコンテンツ」領域が4050億円で同35%であり、サービス・健康・教育領域が全体の約半分を占めている。

大企業のサービス参入などにより、サブスクリプションサービスへの顧客認知度や顧客体験がより浸透し、市場が活性化することで、2023年にはサービス・健康・教育領域が6180億円で同43%、物品購入・レンタル領域が2620億円で同18%、デジタルコンテンツ領域が5570億円で同39%になる見通しだ。

  • ジャンル別の利用期間

Webアンケートで約4000人のユーザーに対して利用期間をジャンルごとに聞いたところ(有効回答者数は3976人、複数回答)、利用期間3年以上は「新聞・ニュース」で約7割、「アプリ・ソフトウェア」で約4割だった。特に新聞・ニュースは、一度加入すると継続利用期間が長い傾向が見られるという。

  • ジャンル別の月間利用額

普段利用しているサブスクリプションサービスの月間利用金額を尋ねると、月額利用金額1万円以上が多かったジャンルは「ファッション・美容」、1千円以上1万円未満が多かったのは、「新聞・ニュース」・「教育・学習・資格」・「飲食店・食料品宅配」・「カーシェア・自動車定額利用」、1千円未満が多かったのは「音楽」・「書籍・雑誌・コミック」・「アプリ・ソフトウェア」・「動画」・「ゲーム」だった。

なお、ファッション・美容は月額利用金額1万円以上が最も多く32%に上ったが、1千円以上1万円未満も31%とあまり差が無い。

  • 年代別の利用ジャンル(上位3位まで)

サブスクリプションサービスの利用者に普段利用しているサービスを聞くと、60代以上を除くすべての年代で、「音楽」と「動画」が1位2位となった。3位は、10代・20代が「ゲーム」、30代・40代は「書籍・雑誌・コミック」、50代は「新聞・ニュース」と、年代ごとに傾向の違いが見られた。

スマホ・タブレットの普及で定額動画サービス・定額音楽サービスが手軽なコストで場所を問わず利用できることが、音楽・動画の利用が各年代で受け入れられている要因だと同社は分析する。

サブスクリプション市場の認知が進む一方で、サブスクリプションビジネスをいち早く取り入れた企業が撤退する動きも見られるという。

サブスクリプションサービスは定額で料金を継続的に払い続けるサービスだが、電気・ガスのように利用に応じて利用料金を支払い続ける「リカーリング」と呼ばれるビジネスも注目されており、今後は多様な業種で所有から利用に向けたビジネスモデルの変化が起こると同社は予想している。