コニカミノルタは1月28日、都内で記者会見を開き、Workplace Hubの国内開発モデルとして複合機一体型の「Workplace Hub Smart(ワークプレイス ハブ スマート)」など3つの新製品・サービスを発表したほか、デジタルトランスフォーメンション(DX)に関する戦略について説明した。
まず、1月28日にJBサービスWorkplace Hubセキュリティサービスの提供を開始し、今春にはWorkplace Hubのエンドポイントセキュリティサービスの運用監視ならびにSOC(Security Operation Center)サービスの提供を開始。
ITセキュリティの運用・管理者を増やすことなく、セキュリティ脅威の検知・分析・対処から保守までのサービスをワンストップで提供し、コニカミノルタジャパンがUTM(Unified Threat Management:コンピュータウイルスやハッキングなどの脅威からネットワークを効率的かつ包括的に保護する仕組み)の設計、設定、設置までを支援するほか、保守・運用はJBサービスと協業して対応する。
オプションのSOCサービスを利用することで、セキュリティ設定のバックアップやファームウェアの更新を行い、サイバー攻撃のリスクを軽減するとともに、ITセキュリティ製品の設定・管理・運用業務をリモートで行うことで迅速な対応により、重要なセキュリティイベントの早期発見と分析・対応策の支援を行う。
続いて、4月1日に複合機とITサービスの統合型プラットフォーム「Workplace Hubプラットフォーム」上で稼働する、Workplace Hub Platform Readyの独自アプリケーションとして、アステリアの「ASTERIA Warp Core Workplace Hub Edition」を販売開始する。
Workplace Hub Platform Readyは、Workplace Hubプラットフォーム上で稼働させることで実際の処理量や利用者数、端末数などの利用実績に基づいた課金となり、初期投資を低減することが可能なほか、遠隔監視や遠隔操作によるリモート保守により、復旧までのダウンタイムの軽減を可能としている。
同アプリケーションにより、メールや表計算ソフトとの連携で複数のメール添付ファイルや格納フォルダにある表計算ファイルから自動で必要な項目や数値を読み取り、集計表を作成することが可能となり、週次や月次など必要なタイミングでレポート作成からメールの送信まで自動化できるという。
また、顧客がサービスインする際に必要な表計算を効率化する業務フローの設計・開発を、コニカミノルタジャパンが顧客要望をヒアリングし対応するため、開発から利用中の仕様変更時まで、顧客側での対応が不要となり、業務の負荷が軽減されることに加え、アプリケーションのシステム環境をWorkplace Hubで構築することで、遠隔での監視や保守を提供しIT管理者の負荷を軽減するとしている。価格はユーザー数にかかわらず、税別で月額3万円(業務フロー設計・変更には別途料金が発生)~。
そして、5月にはWorkplace Hub Smartを発売し、複合機とWorkplace Hubプラットフォームの統合により、複合機の機能とITサービス、IT保守・運用をシームレスに統合したサービスを提供する。Workplace Hubプラットフォームは、オンプレミス環境とクラウド環境とを統合したハイブリッドクラウド環境を提供しており、クラウド版およびオンプレミス版のorkplace Hub Platform Readyアプリケーションをシームレスに利用することができるという。
複合機やアプリケーションの利用情報をクラウド基盤に集約することで、請求を一本化できるため管理者の手間を省力化すること可能なことに加え、セキュリティの確保と遠隔監視・遠隔保守による窓口の一本化、初期コストを抑えて必要なアプリケーションを気軽に利用できる従量課金制が利用者とIT管理者双方の生産性向上を実現するとしている。
さらに、これまで複数のサーバハードウェアで管理していたオンプレミス型アプリケーションをWorkplace Hub Smartで3つのWindowsの仮想マシン(Virtual Machine)を搭載することで、最大3つ同時に稼動することができるため、追加でサーバハードウェアを用意することなく、複合機を設置するスペースがあれば最新IT環境を導入することを可能としている。加えて、保守サポートもコニカミルタジャパンがワンストップで対応する。
コニカミノルタが掲げる「Intelligent Connected Workplace」構想
同社は、新たに「Intelligent Connected Workplace」構想を掲げており、企業のDXの加速に向けて、ITサービスプラットフォームと複合機を強化し、働き方改革ソリューション「いいじかん設計」を進化させたという。
同構想について、コニカミノルタ 常務執行役 デジタルワークプレイス事業 DXブランド推進 IT担当の仲川畿夫氏は「われわれでは顧客のDXを支援しており、昨年に『Connected office』というコンセプトを発表したが、それをさらに発展させてIntelligent Connected Workplaceを打ち出した」と説明する。
また、いいじかん設計とは働き方改革に対し、これまでの経験をもとに働き方の“あるべき姿”をあらためて考えまとめたコンセプトであり、いいじかん設計の継続的進化により未来の働き方をデザインするものだという。
Intelligent Connected Workplaceは、必要な人や情報がつながり、いつでもどこでもだれとでも価値創造できる顧客にとってスマートな職場環境を指し、オフィス以外のワークプレイスにも対象を拡大することで複合機やWorkplace HubをタッチポイントとしたITサービス、データを活用した意思決定を支援するという。将来的には、さまざまな人やナレッジをデジタルでつなげ、データの価値を最大化させるデータエコシステムを構築し、ワークプレイスのDX促進を目指す考えだ。
具体的には、顧客のIntelligent Connected Workplace実現のステップとしてレベル0~3の4つのレベルに分類し、レベル0は紙や帳票、働く場所に縛られている状態、レベル1はプロセスをITでつなげることでデジタル化がスタートし「いつでも」働くことができる状態、レベル2が現場同士でつながることで「どこでも」働くことができる状態、レベル3が必要な人やナレッジがつながることで、いつでもどこでも誰とでも価値創造ができる状態だという。
各レベルへのアプローチに関しては、レベル0からレベル1では紙削減や業務プロセスの最適化、自動化、All in one ITにより「紙に縛られずいつでも働く環境」に、レベル1からレベル2へはオフィス空間デザイン、モバイルITインフラ、データ分析サービスによる「どこでも働ける環境」に、レベル2からレベル3は社内外コラボレーション、ナレッジマネジメント、意思決定支援による「誰とでも働くことができる環境」にそれぞれ引き上げ、同社が一歩先の働き方を提案するというものだ。
仲川氏は「われわれはB(コニカミノルタ)toB(顧客企業) to P(働くPrpfessional)forP(Person)に取り組んでいる。働くProfessionalはビジネスパーソンやモノづくりのプロ、印刷のプロなど、Personはエンドユーザーなどに該当する。Professional、Personに寄り添い、業態・業種別にデジタルワークプレイスを提供し、やりがいに結びつくこと、ひいては社会課題に結びつけるようなサービスとして展開していく」と述べていた。
また、コニカミノルタ 執行役 コニカミノルタジャパン 取締役副社長 情報機器事業管掌の大須賀健氏は「いいじかん設計は作業時間を減らし、クリエイティブな時間を増やすことであり、単にコスト削減などをするわけでなく、働く環境の価値向上を支援することだ。持続的な企業価値を向上していくため、ICT構築支援から業務効率化、創造性のある働き方へと、日本の社会課題(=世界の社会課題の先取り課題)解決の先進企業を目指し、段階的に未来の働き方の実現を図る」と説明していた。