Tableau Japanは11月28日、都内で記者会見を開き、IDCと開発したデータレディネスインデックス(DRI)を用いたアジア太平洋地域における調査結果を発表した。会見には、同社 社長の佐藤豊氏が出席した。

DRIは、人(組織とスキルに分けて分析)、プロセス、テクノロジー、ガバナンスの複数の区分で特性づけられる指標として標記する。今回、データレディネスを決定する5つの項目をアジア太平洋地域(オーストラリア、中国、香港、インド、日本、シンガポール、韓国)の700以上の組織を対象に調査して指標化し、成熟度を3つの段階(先行レベル、発展途上レベル、遅滞レベル)に分類。データレディネスとは分析が組織の広範に浸透し、データを業務の中核とするための組織の能力を意味するという。

佐藤氏は「IDCの調査によると、今後5年間のデータ量は175億ZB(ゼタバイト)が見込まれており、データ時代に突入した。データ時代=デジタル経済を勝ち抜いていくためには、企業においてはデータが必要不可欠となっている。日本では2025年の崖もあり、DXなしでは経済の損失を招くことが懸念されている。そのため、データ活用ではなく、いかにデータの文化の醸成、データドリブンな組織を醸成していくかが課題となっている」と指摘。

  • Tableau Japan 佐藤豊氏

    Tableau Japan 佐藤豊氏

DRIスコアでは、日本はオーストラリア、シンガポールに次いで3番目に位置付けられているが、先行レベルの日本の組織はわずか8%でシンガポールは52%、オーストラリアが49.5%となり、大幅に差が出ている状況となっている。また、発展途上レベルの組織数が82%と最も多くなっており、先行レベルの企業も合わせると90%以上がデータを用いた文化の醸成、データドリブンな組織への移行に取り組んでいる。

一方で、日本の組織は過去および未来の投資のためにガバナンス、プロセス、テクノロジー(30~34%)を優先しており、人材開発を重視していないことが示唆されているという。これは、従業員のデータスキルや組織全体にわたる協力など、人材に関連する特性が主な促進力となっているAPAC全体の結果とは対照的な結果となっている。

  • 国別DRI成熟度のグラフ

    国別DRI成熟度のグラフ

調査結果を踏まえ、同氏は「組織全体においてデータ文化を作り上げるためには“人”を中心とした取り組みが重要となることから、そのための新たなアプローチが必要だ」と強調する。

そこで、同社が提供しているフレームワークが「Tableau Blueprint」だ。これは、組織をデータドリブンに導くため具体的なプランやレコメンデーション、ガイドラインなどを含んでおり、過去の知見を集約し、データをもとに人の力を引き出すためのものだという。

佐藤氏は「成功している組織と、そうではない組織の違いはアジリティ、習熟度、コミュニティの3つの観点がある」と説明する。同フレームワークは柔軟でアジャイルなデータ環境で、ビジネスニーズで発展でき、従業員の分析習熟度を高め、分析の適用を進めるサステイナブルなコミュニティを構築できるという。

また、従来はデータを活用する際はガバナンスを重視していたが、昨今では現場にデータを開放し、現場の知見・経験をビジネスのインパクトや組織の改革につなげるためには、ガバナンスを担保しつつ信頼できるデータをセキュアな環境で現場に開放することが求められている。

さらに、IT部門とビジネス部門がコラボレーションしながら、ビジネスプロセスのブレークスルーを果たすということ増えてきているため、Blueprintは11のステップバイステップのプロセスでデータドリブンな組織を実現するとしている。

同氏は「ホームページ上に180超のコンテンツを揃え、フレームワークに沿いながら企業のデータ文化の醸成に努めている」と述べていた。