増税後に最も使われたキャッシュレス決済2位は楽天ペイ、1位は？

ICT総研は11月28日、消費増税後のキャッシュレス決済利用状況調査の結果をまとめた。今回の調査では、利用環境の充実が進み普及が進むキャッシュレス決済市場において、消費増税後のユーザーの利用実態を把握することを目的にしている。

経済産業省は10月からスタートした消費税の増税に伴い、中小・小規模事業者でのキャッシュレス決済手段を使った支払いに対し、ポイント還元を支援する「キャッシュレス・ポイント還元事業」を実施。11月21日時点で登録加盟店は約77万店、登録申請数は約94万店舗に達するなど、活況を呈しており、特にスマホ決済は還元率の高さなどから利用者が急増し、2020年には「JPQR」と呼ばれるキャッシュレス推進協議会が策定したコード決済の統一規格が登場予定など、スマホ決済が使える店舗のさらなる普及拡大も進むという。

同社が11月に実施したWebアンケート調査では4190人のアンケート対象者のうち「クレジットカード」「電子マネー」「QRコード決済・バーコード決済」などのキャッシュレス決済を普段利用していると回答したのは、全体の85.8%(3596名)となった。

キャッシュレス決済を利用している人のうち、10月の消費増税を機に利用し始めたサービスはPayPayが15%で最も多い結果となり、10月1日から「まちかどPayPay」と呼ばれるキャンペーンを実施。消費税還元事業から5%、PayPayから5%の合計10%を消費者に還元するキャンペーンを実施したほか、積極的なプロモーションが奏功したものという。

楽天グループの楽天ペイ、楽天Edyがともに8%と続き、楽天ペイはアプリの支払いで最大5%還元するキャンペーンを実施したことなどが貢献し、楽天Edyはチャージした範囲で使える安心感や、全国約60万カ所の楽天Edyの利用店舗数の多さなどもあり、高い割合を示した。

主なキャッシュレス決済の利用状況

次いで、普段買い物をする際の支払い方法を金額ごとに聞いたところ、1000円未満では現金の利用率が39%と最も高く、金額の上昇に伴い利用率は減少。一方で、クレジットカードは金額が上がるにつれて利用率が増加し、「3000円以上」からクレジットカードの利用率が現金を逆転する結果となった。また、QRコード決済・バーコード決済は1000円未満での利用率が11%なのに対し、1万円以上では6%と支払い金額が高くなるほど利用率が低くなる傾向を示しており、現金と類似している。

普段買い物をする際の支払い金額ごとの決済順位

また、普段利用している決済方法を利用用途別に尋ねたところ、QRコード決済・バーコード決済の利用比率が最も高かった場所は、スーパー・コンビニエンスストア(21%)となり、一般的にスーパー(平均客単価1900円)、コンビニエンスストア(平均客単価650円)での支払い金額は小さく、QRコード決済・バーコード決済の利用率の傾向とも一致する。

普段利用している決済方法

さらに、キャッシュレス決済を普段利用していないとした回答者に、利用しない理由を聞いたところ、10代や20代などの若年層では「ポイント還元の制度を知らない」「ポイント還元の仕組みを理解できない」など、認知や理解の不足を理由とする回答が多い傾向となった。

一方、60代以上は「スマホを利用してないから」「カードやアプリへの会員登録が面倒だから」などの理由が上位となっており、年代ごとに傾向の違いが見られた。

キャッシュレス決済方法を利用していない理由(年代別順位)

政府は来年度、マイナンバーカードを活用した消費活性策として「マイナポイント」という制度を新たに開始する準備を進めている。これは、マイナンバーの取得・マイナポイントの申込みをした上で、QRコード決済などを使って買い物し、ポイント還元という流れになる予定だと言われているが、制度の認知や理解の促進、手続きの煩雑さなど、現時点でも課題と見られている点をどのように解消していくか、同社は引き続き注目していくという。