TISが参画している八重山MaaS事業連携体は11月19日、地域観光型MaaS(Mobility as a Service)の実現を目指す「八重山諸島における離島船舶、バス、タクシーによる観光型MaaS実証実験(八重山MaaS)」を同26日から開始すると発表した。実証実験の期間は2020年2月29日まで、利用者数、利便性、今後の利用意向などを検証し、八重山MaaS事業連携体では今回の実験結果を踏まえ、来年度以降のサービスの本格展開を目指すとともに、地域住民の交通課題解決を目指す地域型MaaSに関する検討も進めていく方針だ。
八重山MaaS事業連携体は石垣市、竹富町、沖縄セルラーアグリ&マルシェ、JTB沖縄、TIS、琉球銀行、八重山ビジターズビューローの7者により、八重山地域でのMaaSサービス実現を目指して組成。
八重山諸島では観光客が2017年以降で130万人を超える中で、レンタカー利用割合が50%を超える突出した数値となっており、交通手段における公共交通手段の割合である公共交通分担率が低いという課題があったほか、チケット購入のキャッシュレス対応が十分ではないという点も観光客にとっての利便性の面で課題になっていたという。
そこで、八重山MaaS事業連携体では各種交通機関のキャッシュレスなチケット事前購入とシームレスな利用を実現し、観光需要を創出する情報が掲載されたスマートフォンのサービスを提供することで、観光型MaaSとして必要な機能、サービスの検証を行う。実証実験では、観光客がスマートフォンで事前に予約・決済した八重山諸島の離島船舶、バス、タクシーなど11の交通事業者を利用できる電子チケットを発行する。
スマートフォンに格納した電子チケットを、現地の交通事業者の利用環境に応じて認証することで、ユーザー(観光客)は都度の発券の必要がなく、八重山諸島の交通機関をシームレスに利用できるという。八重山MaaSでは、メインのターゲットを少人数で旅をする女性に設定し、予約や決済などの機能に加え、観光地の写真から目的地を検索できるなどの情緒的な情報を訴求するサービスとしての展開を目指す。
沖縄セルラーアグリ&マルシェが加盟事業者利用環境整備を、JTB沖縄が交通・商業連携の旅行商品の提供とMaaS加盟事業者開拓を、琉球銀行がキャッシュレス決済の実現とMaaS加盟事業者開拓を、八重山ビジターズビューローが観光施設連携強化を、TISがMaaSプラットフォームの提供と全体取りまとめを担当するほか、石垣市、竹富町、沖縄総合事務局運輸部も参画し、国、沖縄県、八重山地域の観光・商業施策との連携に関する助言などを行う予定だ。