現在、働き方改革が推進されるなか業務効率化のニーズの強い部署の一つがシステム開発部門だろう。注目すべきは、効率的なスケジュール管理や開発環境の構築など目立つ仕事とは別に、業務上で発生する簡単な集計プログラムやちょっとした機能を追加したいなどの要望に応える小さなアプリケーション開発の存在だ。システム部門にまかせればコストと時間がかかり、現場で作成しようとすれば技術と知識が足りない。

期待されるのがノンプログラミング開発や超高速開発と呼ばれるプログラミング言語を知らなくとも成果物を開発できるソリューションだ。住友電工情報システムは、自社内で活用するためノンプログラミング型の開発ツールを古くから研究開発してきた。そして、それらのノウハウを一般向けに提供するのが「楽々Framework3」だ。今回は同社のノンプログラミングシステムがどのようなものかレポートする。

  • 「楽々Framework3」IT Week 秋 2019の住友電工情報システムブースより

    「楽々Framework3」IT Week 秋 2019の住友電工情報システムブースより

「楽々Framework3」は、DOA(Data Oriented Approach)の考えの元、プログラムに必要なデータ定義を入力してデータモデルを作成。そのデータモデルからシステムが自動的にプログラムを生成する。あとはグラフィカルインタフェースを採用した統合開発環境「RakStudio」上で、レイアウトの変更や項目の追加などを行い、最後にエラーチェックやプログラム固有のルールやロジックを組み込む。このプロセスでアプリケーションを作成する。

「楽々Framework3」の採用するグラフィカルインタフェース「RakStudio」は、ドラッグ&ドロップなどのマウス操作やラジオボタンやプルダウンメニューなどお馴染みのインタフェースで利用できる。

  • 「楽々Framework3」のビジュアルインタフェース「RakStudio」開発画面

    「楽々Framework3」のビジュアルインタフェース「RakStudio」開発画面

  • 最初に定義するデータ。これらのデータを元に自動的にプログラムが作成される。画面上には、作成されたプログラムの「画面遷移図」を表示できる

    最初に定義するデータ。これらのデータを元に自動的にプログラムが作成される。画面上には、作成されたプログラムの「画面遷移図」を表示できる

  • 番号を振られたボックスがプログラムの部品となる。右側のメニューからパーツをドラッグ&ドロップで追加することができる

    番号を振られたボックスがプログラムの部品となる。右側のメニューからパーツをドラッグ&ドロップで追加することができる

  • 追加したパーツをクリックするとダイアログが表示される。必要な情報を入力する

    追加したパーツをクリックするとダイアログが表示される。必要な情報を入力する

  • ロジックが対応していない場合は、直接コーディングすることができる

    ロジックが対応していない場合は、直接コーディングすることができる

  • デモで実際に作成された簡単な集計プログラム

    デモで実際に作成された簡単な集計プログラム

  • 赤く表示された部分のロジックの処理を行う

    赤く表示された部分のロジックの処理を行う

  • 実行ボタンを押せばプログラムが出力される。受注票データ入力フォームが完成

    実行ボタンを押せばプログラムが出力される。受注票データ入力フォームが完成

作成できるプログラムについては、簡易な集計プログラムやWebアプリケーションに留まらず基幹システムの構築まで可能だというから驚きだ。ブースの担当者によれば、「住友電工の基幹システムは、すべて楽々Framework3で作成されており、あらゆる業務システムを作成しているので、できないものはない」と自信を見せる。属人性を排し、誰でも同じプログラムを作成できることを重視して開発している。コーディングが個々のプログラマーの技量や癖などに左右され、それがメンテンス性の低下に直結しているためだ。説明員によれば、同システムを導入することで、プログラムの開発スピードだけでなくアップデート処理などのメンテナンス時間も大幅に削減され、プログラムの運用コストを大きく下げることができるという。

  • 「楽々Webデータベース」のサイネージ

    「楽々Webデータベース」

住友電工情報システムでは、「楽々Framework3」以外にも同じようにビジュアルインタフェースで簡単にデータベースを利用したアプリが作成できる「楽々Webデータベース」の提供も行っている。「楽々Framework3」は、Web上で体験版をダウンロードできるので、業務効率化にノンプログラミングを考えている開発担当者はそちらをチェックしてみてはいかがだろうか。