MM総研は30日、AIを活用した手書き文字認識のAI-OCRサービスに関する利用実態調査を実施、その結果を発表した。
AI-OCRサービスは、大量の帳票類に書かれた手書き文字をAIで高速かつ高精度に識別するソリューション。
MM総研は今回、同サービスを実際に使用して実用水準に達しているか否かを確認した。検証実験は、日本で広く流通するNTT東日本の「AIよみと~る」、Cogent Labsの「tegaki」、ユニメディアの「LAQOOT」の3サービスを対象に実施。また、比較対象にAIを使わないOCRとして、Google「Googleドライブ」、Adobe「Acrobat DC」、富士ゼロックス「DocuWorks9」の3サービスを使用した。
その結果、使用した3つのAI-OCRサービスは手書き文字をほぼ正しく読み取り、十分な実用水準に達していることが証明され、手書き文字入力に必要な作業時間を大幅に縮めることが確認できたという。検証に使用した3つのサービスの中では、「手書き文字認識率」「作業時間」の計測結果ともに、NTT東日本「AIよみと~る」が最も高い成績であったということだ。
オフィス業務の生産性向上に取り組む1,000社へのWebアンケートでは、AI-OCRサービスを導入していると回答した国内法人は全体の9.6%。同サービスの未導入企業に対し、サービス利用への関心を聞くと51.9%が「利用に関心がある」と回答し、大企業を中心に関心が高いという。業種別では、卸売業・小売業や製造業、官公庁など、大量の手書き帳票が発生する業種でより強い導入意向がみられたということだ。
また、ホワイトカラーの業務生産性向上にあたり、最も非効率な業務として課題に感じている業務が「データ入力・登録」で全体の51.5%で、特に紙帳票やPDFから文字を識別してデータ化する業務は具体的な解決策にも乏しいという結果となった。
一方、既存技術のOCRは全体の85.8%が「活用できていない」と回答し、その理由として手書き文字やフォントの文字認識能力の低さが挙げられている。調査では「手書き文字の識字率が低い」という回答が全体の41.6%、「フォントの識字率が低い」が31.8%であったということだ。
MM総研は、AI-OCRサービスがオフィス内の非効率業務を解消し、生産性を高める効果が期待できるとし、今後は導入率が高まると判断できるとしている。