鹿島建設は18日、三菱電機、三菱電機エンジニアリングと共同でAI技術を活用する掘削状況を把握するシステムを開発したことを発表した。

ニューマチックケーソンの函内から見た実際の土砂境界部付近(同社資料より)

ニューマチックケーソンの函内から見た実際の土砂境界部付近(同社資料より)

開発された技術は、大規模な地下掘削の際などに鋼鉄の作業室(ケーソン函)を沈めながら深部へと掘り進む"ニューマチックケーソン工法"で利用されるもの。ダムや橋梁のような大規模なものでは、人が百人は入れるようなケーソンを用いた掘削が展開されている。YouTubeなどで検索すると、その壮大で繊細な掘削業務の一部を垣間見ることができる。

新たな技術は、ケーソン内に設置したレーザースキャナ、刃口全周を捉える複数のネットワークカメラ、地上のPCの3点で構築。従来、潜函作業員が経験則を頼りにケーソンを計画通りの姿勢、位置、速度を保ちながら掘削、沈下させていたが、スキャナからの3D点群情報とネットワークカメラからの画像、機械学習を活用することで土砂の境界などを正確に把握できる。

  • 3D点群データと撮影画像の組合せた刃口と土砂の境界線(同社資料より)

    3D点群データと撮影画像の組合せた刃口と土砂の境界線(同社資料より)

  • システムの概要(同社資料より)

    システムの概要(同社資料より)

超広角カメラで撮影した画像。短冊状に画像をトリミングし教師データ化、土砂境界線を推定する(同社資料より)

超広角カメラで撮影した画像。短冊状に画像をトリミングし教師データ化、土砂境界線を推定する(同社資料より)

ケーソン内へ人が入ることなく、掘削状況をリアルタイムに把握できるため、数十分から数時間をかけて行っていた作業が不要になり、安全性も飛躍的に向上する。画像を用いた機械学習は、活用の幅がとても広がっているが収集した画像を短冊状にトリミングした土砂境界の教師データを作成し、学習させていくことで目視に近い識別精度を実現しているという。