米Looker 最高製品責任者 ニック・コールドウェル氏

データ分析プラットフォームを提供するLookerがこのほど、事業戦略説明会を開催した。日本法人は2018年9月に設立されたが、今回初めて日本の報道関係者に対し、事業概要と国内のビジネス戦略についての説明が行われた。

初めに、米Looker最高製品責任者のニック・コールドウェル氏が同社の事業について説明した。同氏は「われわれは企業においてデータを使うすべての従業員に活用してもらうことをミッションとしており、そのための独自のアーキテクチャを持っている」と話した。

Lookerは独自のデータベースを持つのではなく、顧客が利用しているデータベースやデータウェアハウス(DWH)に接続することを前提とし、企業が利用するデータを一元管理し、データ分析と可視化を行う。

独自のデジタルマーケティングアナリティクス・ツール、Web分析ツール、セールス分析ツール(ベータ版)を備えており、データ分析が容易に行える。

  • Lookerデータプラットフォームの概要

コールドウェル氏は「BIはすべてのデータをカバーする統一された信頼性の高い包括的なビューに回帰する必要があり、最新のデータエコシステムに対応するには、新しいアーキテクチャが必要。さらに、いつでもどこでもインサイトを提供することが求められている」と述べ、BIの将来はデータプラットフォームであるとアピールした。

Looker ジャパンカントリーマネージャー 小澤正治氏

国内の事業戦略については、ジャパンカントリーマネージャーの小澤正治氏が説明した。Lookerは2018年9月に国内での事業を開始した。

小澤氏は、Lookerを導入した国内の企業の8割から9割はデータの活用を前提としている企業であり、内部の分析に加え、自社のデータを外部に公開することでどのような価値を生むかを考えていると語った。

例えば、リクルートマーケティングパートナーズでは、「外部のDWHとデータベースを利用」「LookML(独自のモデリング言語)ですべてを記述」「GitHub連携が可能」「ほとんどの操作をAPI経由で実行可能」「見られている、見られていないという指標を把握可能」「ライブチャットのサポート」が、Lookerを導入したポイントだという。

Lookerでは作成した設定情報をバージョン管理ツールであるGitと連携させることができるため、コンテンツの管理をGitに任せることができる。また、LookerにはRestfulなAPIが提供されているので、操作を自動化できる。

  • Lookerを導入している国内企業

なお、Lookerは今年6月、Googleによって26億ドルで買収されることが発表された。買収後、LookerはGoogle Cloudに加わることになる。Google CloudのCEOであるトーマス・クリアン氏はブログで「Google CloudにLookerを追加することで、データの取り込みから分析結果の視覚化、データと洞察の日常のワークフローへの統合まで、完全な分析ソリューションを提供することが可能になる」と述べている。

Googleに買収されることについて、コールドウェル氏は「Lookerにとっていい成果。『すべての人がデータを使えるようにする』というミッションにおいて、われわれとGoogleは共感できる」と話した。

また、小澤氏は「Googleのミッションである『データの活用を高度化する』ことにおいて、Lookerは貢献できる。われわれが対応しているデータベースは50種を超えるが、データ分析を行う上で、オンプレミスのデータベースには限界があるので、今後はクラウドネイティブのデータベースにシフトしていく。しかし、買収されても、マルチプラットフォームのサポートは変わらない」と述べた。