NTT東日本は5月28日、千葉市の税業務をフィールドとし、AI-OCRによる実帳票の読取精度、AI-OCR/RPAによる業務効率化の効果を検証したことを発表した。
実証実験では、AI insideが商品化したAI-OCR「DXSuite」とNTTアドバンステクノロジが提供するRPAツール「「WinActor」を利用。
実証実験は、千葉市役所課税管理課の個人住民税、法人住民税の業務を対象とし、AI-OCRによる対象帳票の読取精度とAI-OCR/RPAによる職員の業務時間の削減効果を測定した。
対象業務における対象帳票は、「個人住民税」が給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書(千葉市式)で、年間処理件数は約5万5000件、「法人住民税」が確定・中間申告書(千葉市様式およびeLTAXでの申請書)で、年間処理件数は約2万000件となっている。
実証実験では、AI-OCRでは、読み取りをした総文字数(1)に対して、職員が補正した文字数(2)をカウントし、総文字数に対して補正を行わなかった文字数(1-2)の割合を読取精度として算出した。その結果、総文字数に対して「96.26%」と高い読取精度となり、実帳票のデジタル化への有用性を確認できたという。
業務別では、活字帳票である法人住民税(eLTAX申請)は「98.32%」、手書き記入かつ住所などの自由記入欄が多い個人住民税の帳票においても「94.82%」といずれも高い読取精度を確認できたという。
手入力でのシステム投入時間と、AI-OCR/RPAでのシステム投入時間を計測し、帳票1枚当たりの平均時間を年間処理時間に換算した結果、個人住民税では、年間で約602時間の削減効果を得ることができた。
一方、法人住民税では申請内容の補正が必要となる場合があり、今回の実証実験ではその判断基準やノウハウをAI-OCRの帳票定義、RPAのシナリオに反映するところまで至らず、削減効果を得ることができなかった。
今回の実証実験により、本運用時の想定導入フローでは、AI-OCR読取結果に対する確認・補正作業は実施せずに、システム投入後の確認作業においてエラーデータの確認やシステム修正を実施することで、帳票のデジタル化からシステム投入までの自動化が可能と考えられるという。その場合、個人住民税の業務削減時間は、年間で最大約1283時間と想定している。