日本ヒューレット・パッカード(HPE)は5月27日、都内で記者会見を開き、IT環境全体の最適化を視野に入れたマルチクラウド戦略の構築を支援するサービス「HPE Right Mix Advisor」の提供開始を発表した。
新サービスは業種業界問わずシステム規模が大きく複雑な企業を対象に同社のグローバルなサービス組織「HPE Pointnext」を通じて提供し、目的と課題の把握、ロードマップの検討、PoV(Proof of Value:価値実証)を通じた実効性の高い計画の立案を行う。
日本ヒューレット・パッカード Pointnext事業統括 執行役員の小川光由氏は、新サービスについて「マルチクラウド環境において多様なテクノロジーを最適化するコンサルティングサービスだ」と説明する。
Pointnextは、アセスメントやワークショップ、構想計画立案、PoV/Pocなどの「アドバイザリーサービス」、プロジェクト管理、要件定義、基本・詳細設計、構築テストをはじめとした「プロフェッショナルサービス」、移行、運用支援、利活用促進支援、インフラストラクチャ、サポートの「オペレーショナルサービス」で構成されており、HPE Right Mix Advisorはアドバイザリーサービスの1つとして提供する。
また、マルチクラウド環境の構築に関しては「Right Mix Infrastructure」「Right Mix Data Store」「Risght Mix Networking」などを、導入後のプライベートクラウド環境においては従量課金型ITインフラサービス「HPE GreenLake」を提供する。
日本ヒューレット・パッカード Pointnext事業統括 A&PS ビジネス開発本部 本部長の狹間崇氏は「Right Mix Advisorは、ハイブリッド/マルチクラウドを進める国内ユーザーの知見と、欧米のパブリッククラウドのインテグレーターの買収により得られた知見を融合したものだ」と強調する。
具体的には、ハイブリッド/マルチクラウド化をお進めるにあたり、マルチクラウド化全体計画、クラウド活用PoV、実行計画具体化を支援する。
マルチクラウド化全体計画では、ビジネス背景と必要IT施策洗い出し、利用方針・基準検討、ハイブリッド/マルチクラウドITアーキテクチャ検討、ロードマップ検討、クラウド活用PoVについては技術勉強会、PoV計画実施、PoV実施結果のまとめ、実行計画具体化に関しては基盤概要設計、移行計画、運用計画・準備となる。
ロードマップ策定のステップとしては、組織内におけるデータの発見と依存関係を把握した上で、パターン識別、準備分析、依存関係のマッピング、ブロッカーの識別、カスタムクラウドルールセットなどを行う。
その後、アプリに修正を加えずに新しい環境に移行する「Rehost」(リホスト)、アプリの仕様を維持したままIaaS上にシステムを移行する「Replatform」(リプラットフォーム)、アプリの仕様を維持したまま一部をクラウドネイティブ化する「Refactor」(リファクター)、アプリの仕様を書き換えてマネージドなど使う「Replace」(リプレイス)、現状を維持する「Retain」(リテイン)、新しいものを作らない「Retaire」(リタイア)と移行パターンを特定する。
狹間氏は「例えば、クラウドの適合性チェックやクラウド成熟度の評価などを分析、マッピングを行い、移行パターンを特定することでクラウド移行の計画・スケジュールをはじめとした青写真を描くものだ」と述べていた。
しかし、現状の環境をAWSやAzureなどにつなぎ、価値を創出できるか判然としないことから、オンプレミスを含めたパブリッククラウドのアーキテクチャの方向性を支援するため、PointnextのプロフェッショナルサービスであるRight Mix Infrastructure、Right Mix Data Store、Right Mix Networkingを提供する。
Right Mix Infrastructureは、従来型のオンプレミス環境をソフトウェアディファインド技術により最新化し、オンプレミス、パブリッククラウド、マルチクラウド環境のコンピュートリソースを効率化するという。
Right Mix Data Storeは、トランザクションデータやファイル、IoTデータなど、多種多様な要求に応じたデータストアの最適化し、オンプレミスとクラウドといった格納場所に加え、リレーショナルデータベース管理システム、データウェアハウス、オブジェクトストレージなどの管理手法を適材適所で組み合わせて最適化するとしている。
Right Mix Networkingは、ユーザやデータ、システムが固定化された環境から、クラウドとモビリティのメリットを活用できる柔軟で快適な環境への移行を支援するという。
そして、これらのサービス提供を支えるためにPointnextのオペレーショナルサービスとしてパブリックとプライベートのハイブリッドクラウドの最適化を実現した消費型モデルであるHPE Green Lakeフレックスキャパシティを提供する。