シスコシステムズは4月18日、グローバルで展開するイノベーションセンターの最新拠点として、衛星・宇宙関連の事業機会の共創を目的としたCisco Innovation Hub(以下、イノベーションハブ)を東京日本橋に開設。プレス向けに公開した。
シスコイノベーションハブは宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)やSpace BDなど宇宙ベンチャー企業のオフィスも入居する宇宙ビジネス拠点X-NIHONBASHI(クロスニホンバシ)内に開設し、異業種企業との協業を積極化し、新たな発想、知識、技術とのコラボレーションの可能性を探っていくという。
シスコシステムズ 代表執行役員会長 鈴木和洋氏は、なぜシスコがこのような施設を作ったのかという点について、「宇宙ビジネスは、最近、大変な盛り上がりを見せ、日本政府も成長戦略の1つと位置づけている。そこで、パートナーとともに業種を超えたコラボレーションを実現し、新しいマーケットを創っていきたいと思っている。なぜ、シスコが宇宙ビジネスを行うといえば、シスコはビジョンとして、今と新しい未来をつなぐ架け橋になることを標榜している。そしてこれまで、スマートシティ、スポーツのスマート化、エンターテインメインテントのスマート化に取り組んできたが、今後は宇宙ビジネスにおいても、現在は小さな可能性でしかないものを、新しいテクノロジーで、新しいマーケットを新しい人材を育成しながら創っていきたい。この施設は、そう意味で大変重要な施設だ」と説明した。
同社のイノベーションセンターは、12カ国、14拠点に展開している。形態には、センターとハブの2種類があるが、シスコシステムズ イノベーションセンター センター長 今井俊宏氏によれば、イノベーションセンターは、製造業、バブリックセクター、スマートシティなどの市場にフォーカスし、シスコの技術やシスコが保有しない既存技術を使って、既存市場やその周辺市場に向けた製品やサービスを開発していく拠点で、ノベーションハブは新技術によって新たな市場を創造する実験的施設という位置づけだという。
新たにオープンしたイノベーションハブでは、衛星データを使った革新的アイデアの発掘とビジネス化、および宇宙関連ビジネスに携わる次世代の人材育成を行っていく。
シスコは、初のオープンでかつフリーな衛星データプラットフォームであるTellusの開発と利用促進を行う25社の異業種間アライアンスに2019年2月に参画している。今回、X-NIHONBASHIで一緒に活動していくさくらインターネットもTellusのメンバーで、宇宙データのオープンデータの提供と、そのデータを活用するためのプラットフォームを提供する。
イノベーションハブではこのTellusのデータに加えて地上のIoTデータやソーシャルネットワーク等の衛星以外のデータを組み合わせる事で、スマートシティ、防災都市計画、環境問題対策などこれまで取り組んできた分野において、新たなイノベーションを引き起こす方法を探っていく。また、異業種を交えたオープンイノベーションによる新たなプロジェクトの発掘も進めていくという。
衛星データを活用したビジネスの創造に向けては、スタートアップや大学・大学院、研究団体、企業等を誘致し、アイデアハッカソンであるInnovation Challenge(イノベーション チャレンジ)を開催し、新たな事業創出のアイディアを募る。その中から、有望なものをプロジェクト化し、サービス化、ショーケース化につなげていく。
もう一方の人材育成については、これまでシスコが取り組んできたシスコのデジタルスクールネットワーク、ネットワーキングアカデミーによって構築された国内外の学生や教育者を幅広くつなぐプラットフォームに、イノベーションハブで得た宇宙関連ビジネスの知見をつなげ、この分野の面白さを多くの人に伝えていくという。さらに、宇宙飛行士訓練技術を活用したローバーミッション演習で学生向け教育プログラムに実績をもつ「VAIOミライ塾」とのコラボレーションを通じて宇宙関連ビジネスにより興味をもち、身近に感じられるプログラム開発にも取り組んでいくという。