ソフトバンクとWireless City Planning(WCP)は4月12日、総務省の「高密度に展開された端末の多数同時接続通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討の請負」で、パシフィックコンサルタンツ、前田建設工業、愛知道路コンセッションと協力し、愛知県の有料道路で第5世代移動通信システム(5G)を用いたスマートハイウェイの実現に向けた実証実験を実施したと発表した。
今回実施した実証実験は、IoTによる橋梁の健全性監視、AIによるインターチェンジ監視、IoTによる渋滞監視の3項目。
IoTによる橋梁の健全性監視は、衣浦豊田道路 牛田料金所付近で行い、5Gの多数同時接続の要素技術「NOMA(Non-orthogonal Multiple Access)」および「グラントフリーアクセス」を実装した5G-mMTC(massive Machine Type Communication、大規模マシンタイプ通信)無線機を試作開発し、橋桁や橋脚の微小な振動を監視するため、「加速度センサ」を多数設置して、5G-mMTC無線機でデータを収集。
その結果、橋桁や橋脚の多点で計測した特長的な振動特性をリアルタイムで監視できることを確認し、災害発生時などの橋桁や橋脚の異常を、遠隔地からリアルタイムに検知が可能になることが期待されているという。
AIによるインターチェンジ監視ではソフトバンクが開発した可搬型5G設備)「おでかけ5G」を知多半島道路の半田中央インターチェンジ(愛知県半田市)に配置て、5Gの大容量通信を用いた高精細な4K映像の伝送とMEC(Multi-access Edge Computing:端末から近い位置にデータ処理機能を配備することで、通信の最適化や高速化をすることができる技術)サーバよるAI画像解析を行い、落下物や逆走車を検出する実験を実施。
結果として、高精細な4K映像を解析することで、HD画質では検出できない小さな物体をAIで検出できることを確認しており、落下物や逆走車など道路上の異常を自動的に検知できるため、安全監視の効率化や異常の見落とし低減などに活用できるという。
IoTによる渋滞監視は知多半島道路 大府東海インターチェンジ周辺の上り車線で実施し、IoT無線技術とソーラーバッテリーを活用した簡易トラフィックカウンターを道路上に多数設置することで、渋滞の検出精度を向上させる実験を行った。
実験の結果、特定地点の渋滞発生を検出できたことに加え、従来と比べて渋滞の長さをより精細に検知できることを確認。これにより、ドライバーに対して、より正確な渋滞情報を、より迅速に提供することが可能になるという。
両社では、今後も5GやIoTを活用したさまざまな検討を進めていく考えだ。