コニカミノルタは4月10日、医用画像AI(人工知能)解析ベンチャーの米Enlitic、丸紅とAIの共同開発契約を締結し、その第1弾として胸部単純X線AIの開発を進めると発表した。

今回の共同開発で、コニカミノルタの持つ商品開発力とEnliticの技術力を融合し、プライマリケアや検診をサポートするAIを開発。Enliticは、ディープラーニングを活用した医用画像解析技術を有し、これまで百万症例規模の大量データを保有・学習している。

丸紅はEnliticの株主であり、グローバルなビジネス基盤から迅速な販路の拡大が期待でき、コニカミノルタは、胸部画像を用いた Bone Suppression(肋骨減弱)処理、Temporal Subtraction (経時差分)処理の開発など、臨床に即した開発、評価のノウハウを保有しており、3社が連携することで、日本で市場展開可能なAIの開発が加速するという。

コニカミノルタは、X線画像診断装置、超音波診断装置、医療ITを3本柱として、病院・クリニック向け医療用画像情報を中心にヘルスケア事業を展開。近年は、プライマリケア(身近にあって、何でも相談にのってくれる総合的な医療)の重要性に着目し、これを支援する製品やサービスにも注力している。

プライマリケアでは、さまざまな診療科が扱う多種多様な病気への対応が必要となり、コニカミノルタは専門医のスキルを学習したAIをプライマリケアに活用することで、患者、医師、診療放射線技師の負担を減らすことが可能であり、プライマリケアAI製品により、プライマリケアに求められるゲートキーパーとしての役割を支援するとしている。

また、同AIは限られた時間の中で大量の診断を要求される検診現場においても同様の負担低減が期待できるという。

医療現場で一般的に利用され、かつ撮影数が多い胸部単純X線画像は、撮影が簡便であることに加え、同時に多くの種類の病変の検出を対象にできるという利点がある一方で、複数の組織が重なって表現される中から病変を識別しなければならず、さらに撮影枚数も多いことから、医師への負担も大きくなっていると指摘。

そこで、共同開発の第1弾として病変を早期に見つけることに重点を置いたプライマリケアや検診をサポートする胸部単純X線AIの開発に取り組む。