デルおよびEMCジャパンは3月13日、2月から新年度がスタートしたことから、日本における2019年度事業方針説明会を開催した。

2月末に発表された米Dell Technologiesの通期決算は、売上が906億ドル(10兆560億円、前年比15%増)、営業損失は1億9,100万ドル(212億円、前年比92%減)で、インフラソリューションは前年比19%増、ストレージは前年比9%増、サーバ/ネットワークは前年比28%増だったという。

  • 米Dell Technologiesの実績

デル 代表取締役社長 平手智行氏は、「売上は堅調で、10兆円企業が2桁で成長している。技術投資も3年間で1兆4000億円行っている。HCIはさらに加速し、第4四半期は3桁成長だ」と業績の好調さをアピール。

  • デル 代表取締役社長 平手智行氏

一方、国内の業績はグループで20%以上の成長を達成し、サーバは前年比39%増、ストレージは前年比25%増、法人向けPCは前年比38%増、サービスは前年比25%増で、HCIは前年比165%増と大きな成長をはたしている。ストレージではオールフラッシュストレージが伸びており、ストレージの9割を占めているという。

  • 日本の実績

EMCジャパン 代表取締役社長 大塚俊彦氏は、「一番の牽引役はコンバージドインフラ、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)、Software Defineの部分で、時代をリードするテクノロジー分野で伸長し、全産業で堅調に推移している。通信、サービスプロバイダ、Webテクノロジーがかなり伸びている」と語った。

  • EMCジャパン 代表取締役社長 大塚俊彦氏

2019年度の事業戦略については平手氏が、「AI、IoTなど、エッジ、コア、クラウド、データレイク構築まで第4次産業革命に不可欠な最先端テクノロジーを日本のお客様に提供」という方針を説明した後、グローバルの「Real Transformation」というビジョンと重ね、「本当の意味でのトランスフォーメーションを幅と深さで追求していく」と語った。

これを受け大塚氏は、2019年度の日本の重点施策として、「日本発のイノベーションプロジェクトの推進」、「市場カバレージのさらなる拡大」、「パートナーとの協業のさらなる進化」、「サポートエクスペリエンスの向上」の4つを挙げた。

日本発のイノベーションプロジェクトの推進では、グローバル組織として、GTO(Global TransFormation Office)を設置し、世界の経験知を日本でも展開するほか、コンサルティングアーキテクトの強化を行うという。

「市場カバレージのさらなる拡大」では、ハイタッチ営業体制の強化への継続投資、新規市場開拓営業体制の強化、「パートナーとの協業のさらなる進化」では、既存パートナーとの協業領域の拡大(C7D)や二次店パートナーへの支援強化を行うという。

そして、「サポートエクスペリエンスの向上」では、日本における24時間×7のサポート領域拡大、お客様サポートメニューの拡大を行うという。

  • 2019年度の日本の重点戦略

今回の説明会で感じられたは、Dell Technologiesグループ8社のシナジー効果を出し、グループ内のソリューションを組み合わせて提供することで、IoT、AI、VR/AR、Agileという最新テクノロジー分野で競争力を発揮していこうという戦略だ。

前述の「幅と深さで追求していく」の言葉もあるが、大塚氏はパートナー戦略で、「内容、中身の部分で既存のパートナーに多くの製品を扱ってもらえるようにする」と述べたほか、新規市場開拓では、「クロスセル、アップセルの部分もまだまだ伸ばす余地がある」と語った。

  • Dell Technologiesならではの価値提供

なお、デルとEMCジャパンの日本法人の統合について平手氏は「米国の税法上の問題から、法人格の統合は計画していない。ただ、人材、ツール、スキルセットなどオペレーションの部分ではすでに完全に1社統合を果たしており、お客様にサービス等を提供する上では(統合された法人と)遜色ないと考えている」と語った。