東日本電信電話(NTT東日本)千葉事業部は2月14日、千葉市と連携し、2018年1月から同市若葉区の千葉市農政センターにおいて、エネルギーハーベスティング(環境発電)に基づくLPWA(低消費電力広域ネットワーク)を利用したセンシングによる生産管理をイチゴ栽培で行い、多様なデータを収集したと発表した。

  • 実証実験のイメージ

千葉市は、農業の担い手不足や農家所得の向上などの課題解決に向け、ICTやロボット技術などの先端技術の導入実証・支援を推進している。

この取組みの一環として、千葉市農政センターで新規就農者の技術習得の短期化、高品質化や収量増を可能とする環境測定装置の検証・普及を検討したという。

2018年1月から、導入圃場ごとの計測データの送信にモバイル回線費用が不要なLPWA方式の無線通信機器を使用し、エネルギーハーベスティングにより電源不要でセンサーと無線通信機器を設置できるという同社の圃場センシングソリューションである「eセンシング For アグリ」を導入し検証した。

その第2段階として、千葉市内の大手観光農園である「フルーツランドとけ観光いちご園 エーアト・ベーレ」に同ソリューションを導入し、熟練農家が持つ栽培技術をデータ化・蓄積、共有することで、さらにデータの精度を向上させ、次世代の農業の担い手の指導に活用していくとしている。

なおエネルギーハーベスティングとは、太陽光、機械の発する振動、熱などのエネルギーを採取し電力を得る環境発電技術を指す。

  • eセンシング For アグリのサービスイメージ

またeセンシング For アグリは、電源不要のセンサーと無線通信機器を圃場に設置し、温度・湿度・照度などのセンシングデータを同社が提供するオンラインストレージサービスである「フレッツ・あずけ~る」に自動収集し、スマートフォンアプリやPCなどを使用して圃場環境を可視化するソリューション。

圃場のセンサーと無線通信用送信機の電源やセンシングデータ送受信用モバイル回線が不要であり、センシングデータのリアルタイムデータ表示が可能といった特徴があるとしている。

今回の実証実験における主な内容として同社は、長年の経験により培った熟練農家の持つ栽培技術をデータ化し蓄積、スマートフォンなどによるデータモニタリング(リアルタイムデータ把握)、計測データに基づいた営農指導/農業従事者同士の栽培に関する情報交換/作業管理のための警報メール、センシングデータの自動収集による自宅から離れたイチゴハウスの効率的な環境把握の4点を挙げる。

今後の展開としては、今回の取り組みにより、新規就農者や経験の浅い農業後継者など農業のノウハウに乏しい人でも、熟練農家の経験により培った専門的なデータ及びノウハウや千葉市の機を捉えた最適な営農指導により、積極的に農業に取り組めるようになるとしている。

また同社は、露地・ハウス栽培における生産現場の要望を基にセンサーの追加や収集した環境データをより幅広く便利に活用できるよう、ICT技術を活用したスマート農業のさらなる推進を図るという。