IDC Japanは1月28日、国内産業用ネットワーク機器市場に関する予測を発表した。これによると、2018年は産業用無線LAN機器市場が他の製品分野を大きく上回る68.3%の前年比成長率で拡大したという。

  • 国内産業用ネットワーク機器市場の売上額予測(2018~2023年)

    国内産業用ネットワーク機器市場の売上額予測(2018~2023年)

近年、作業現場における無線技術の活用の進展が産業用無線LAN機器市場の成長に繋がっているほか、工場内やプラント設備内での設備稼働状況・傾向の確認、さらには産業機器の設定などにおいて、作業者の利便性が高いことからモバイルデバイスの利用が増加しているという。

加えて、移動型ロボットや無人搬送車など工場内/敷地内を移動する機器を活用するインフラとして、無線LAN環境を整備する動きも産業用無線LAN機器市場を押し上げている。こうした工場やプラント設備における無線LANの活用は今後ますます本格化し、産業用無線LAN機器市場は2018~2023年の年間平均成長率(CAGR)で54.6%と高成長を続けると予測。

無線LANに加え、産業用イーサネットスイッチと産業用ルータを加えた国内産業用ネットワーク機器市場全体は、速度をやや落としながらも成長を続けているという。

IoT(Internet of Things)やスマートファクトリー化に対して、どのように取り組むかは依然として製造業を中心に国内企業の重要な課題の1つである一方で、IoT市場初期の高揚感が落ち着きを見せ始めていることから、2018年の国内産業用ネットワーク機器市場は、前年比15.8%増と2017年の高成長からは一息ついた結果となった。

ネットワーク接続するデバイスである製造機械などの産業機器やプラント/設備のライフサイクルが長いことが、爆発的な成長に繋がりがたい理由の1つになっていると指摘。IoTや産業機械のネットワーク化に対する企業の意向は依然として強いことから、歩みは緩やかながらも、産業用ネットワーク機器市場は今後も成長を続けると想定している。

潜在的なネットワーク化需要の高さ、ネットワークの高度化志向、ネットワーク技術の共通化/イーサネット化志向が牽引役になり、市場全体は2023年にかけてCAGR 19.4%で成長し、市場規模は239億円に達し、生産設備のライフサイクルは、IT機器のライフサイクルに比べて長期に及ぶという。

同社コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は、このような市場特性を理解して「産業用機器のネットワーク化に対しては、企業ユーザーもベンダーも長期的に取り組むべきである。生産設備の入れ替えと共に産業用ネットワーク機器ビジネスも進展すると見越して、長期的計画の下でベンダーはビジネスを進めることをIDCは推奨する」と述べている。