愛知製鋼とSBドライブ、先進モビリティ、全日本空輸(ANA)、NIPPO、NECの6社は1月10日、同15日~25日までの間、羽田空港の制限区域内で自動運転バスの実証実験を実施すると発表した。

ANAとSBドライブでは、2020年以降に空港で自動運転バスを実用化することを目指し、昨年2月に羽田空港新整備場地区で自動運転バスの実証実験を実施し、車両走行制御技術や遠隔運行管理システムの検証などを実施している。

実証実験では、日野自動車の「日野ポンチョ」をベースに先進モビリティが改造した自動運転バス(主な搭載機器:自動操舵装置、自動ブレーキ制御装置、GPS受信機、LiDAR、走行制御ECU、磁気マーカー用センサユニット)を使用し、羽田空港の第2ターミナル本館とサテライト(別棟)間を自動運転レベル3で往復し、検証を行う。なお、今回の実証実験では利用客の輸送は行わず、関係者のみで実施する。

  • 実証実験で使用する自動運転バス

    実証実験で使用する自動運転バス

自動運転バスの実用化に向けた次のステップとして6社が連携することで、航空機や特殊車両が走行する空港特有の環境下での自動運転バスの走行に必要な環境整備などを検証するほか、実用化に向けた課題の抽出を行う。

具体的には「磁気マーカーシステム」を用いた車線位置制御と、遠隔運行管理システム「Dispatcher」を利用した運行管理、空港制限区域内での自動運転バスの走行を実施。

磁気マーカーシステムを用いた車線位置制御では、今回の走行ルートは実際に専用車両が乗客輸送や貨物運搬を行うルートであるため、高い精度で車両位置を調整しつつ走行することが求められる一方、周囲の遮蔽(しゃへい)物によりGPSの電波を取得できないエリアがある。

そのため、走行ルートに沿って磁気マーカーを埋設し、車両の底部に設置した高感度磁気センサ(MIセンサ)で検知することで、GPSの電波が届かない環境でも安定的に車両位置を自動調整できるようにするという。使用する磁気マーカーは、IoT・ビッグデータ時代に対応すべく新規に開発したRFIDタグ付きのもので、国内で初めて次世代磁気マーカーを空港制限区域内に埋設して読み取り性能を検証する。

  • 「磁気マーカーシステム」のイメージ

    「磁気マーカーシステム」のイメージ

Dispatcherを利用した運行管理については、遠隔地にいるオペレーターが同システムを利用してバスの運行管理を行い、バスの乗降地点では乗降が完了したことをスタッフがオペレーターに伝え、オペレーターは同システムでバスが発車可能な状況であることを確認。

また、ルートには走行車両が航空機のエンジンによるブラストを避けるための停止線があり、バスはそこで一度停止した後、オペレーターが同システムでブラストの状況を確認して走行を再開させるという。

空港制限区域内での自動運転バスの走行に関しては、空港制限区域内は、航空機や特殊車両の往来、地上支援オペレーションなどがあり、一般公道とは環境が大きく異なるため「航空イノベーション」と「地上支援業務の省力化・自動化」の推進・実現に向けて、磁気マーカーシステムおよびDispatcherと連携させた自動運転バスの走行技術の検証と課題抽出を行う。