IBMは、企業と従業員がAIスキルの向上やAIを活用した組織変革を行うためのソリューション「IBM Talent & Transformation」を発表した。

「IBM Talent & Transformation」は、適切な人材の確保や従業員のキャリアアップなどHuman Resources(HR)の分野を中心としたソリューションで、AIを活用したリクルートメントから従業員のAIスキルのトレーニングなど包括的なAIによる企業変革支援を行う。

具体的には、所定職務における重要属性の決定や候補を選び出すWatson Recruitment、求職者の雇用経験および教育経験やスキルを推論して、最適な職務を見つけるWatson Candidate Assistant、組織の固有の業界とニーズに合わせた戦略的なコンピテンシーやスキルを決定するWatson Talent Frameworks、従業員のキャリアアップのためのパーソナライズされた助言を行うWatson Career Coach、組織の雇用履歴全体における性別、人種、年齢、教育および前職に関連した無意識の偏見分析や対処を行うAdverse Impact Analysis (AIA)などが挙げられている。

同社は、CEOの3人に2人がAIが人事における価値を顕著に推進すると考える一方で自社がそのスキルを保有すると報告するChief Human Resource Officers(CHRO/最高人事責任者)は11%、今後3年で世界10位までの経済大国における約1億2000万人の労働者がAIとインテリジェントな自動化を使った再トレーニング・再教育が必要となる可能性などの調査結果に言及し、認知と実際の準備の間には大きな乖離があることを指摘している。

IBMでは、人事チームによる従業員退職リスク評価や慰留、偏見排除機能を使った職務記述書内の表現などを含む人材採用活動における偏見の判定など自らがAIツールを用いた人材変革への取り組みを実践しており、企業利益を約3億ドル以上押し上げる効果があったことも明かしている。"直感"ではなくデータに基づくアナリティスクが組織自体の様々な面での利益を大きく飛躍させることを自らが実践している。

サービス提供にあたり、IBMグローバル・ビジネス・サービス事業担当のシニア・バイス・プレジデントであるMark Foster(マーク・フォスター)氏は、"企業がAI、自動化、ブロックチェーンのような新しいテクノロジーを利用する際、その進行を阻む最大の障害となるのは、適切な人材やスキルを利用できるかどうかです"と述べており、その体制の構築にはAIの専門知識と同様に企業文化がそれを左右することを指摘している。