SCSKはこのほどセミナー「Yamaha NetWork Innovation Forum Tokyo」を開催した。毎年開催される同セミナーだが、今回のパネルディスカッションは「認定試験とパートナープログラム構想」と題し、これまでヤマハに存在しなかった技術者向け認定試験とパートナーシップ制度を創設するための構想について議論が行われた。

モデレーターはエンジニアでタレントの池澤あやか氏が務め、パネラーとして認定試験の提唱者であるSCSK ITプロダクト&サービス事業本部 ネットワークプロダクト部 販売促進課 課長 三宅健太郎氏、ヤマハ側代表としてユーザーとのコミュニケーションを密にとってきたヤマハ SN事業推進部 国内営業グループ 主幹 平野尚志氏、各社の認定試験立ち上げに携わった経験者として吉政創成 代表取締役 吉政忠志氏が参加し、オブザーバーとして技術評論社 SoftwareDesign編集長 池本公平氏が加わった。

  • モデレーターを務めた池澤あやか氏

2種の認定試験を予定、若手育成に向けて学割も用意

認定試験については、これまでも設立に向けた話し合いがもたれたが、実施には至らなかったという。三宅氏は営業活動の中で、技術者のレベルを示す仕組みや測る仕組みが必要と感じたと話した

「皆様のスキルを測ってやろうという話ではなく、優秀な人がそれをアピールできる物差しがない。それを提供できないかと考えたのが、認定試験を検討したきっかけ」(三宅氏)

  • SCSK ITプロダクト&サービス事業本部 ネットワークプロダクト部 販売促進課 課長 三宅健太郎氏

検定試験の骨子としては、試験センターなどを利用して全県で365日受験できる体制を確立することを目指す。試験科目は「ルーター試験」と「見える化試験」の2種を予定。受験料金は税別1万円程度と考えているが、若いエンジニアを育てるために学割として半額にするという構想もあるという。

  • 検定試験の骨子

事前にユーザーアンケートを実施したところ、多くの意見が得られた。「指標試験になるような試験にして欲しいというのは、ネットワークエンジニアとして代表的な試験になって欲しいということだと思う。個人や学生が受験しやすいということに関しては、学生が勉強しないと将来的に若手がいなくなってしまうから。手に入りやすく分かりやすい教科書が欲しいというのは、受験のために高額のセミナーを受講しなければならないようなものではなくして欲しいということだろう。実践的・特徴的というのは見える化大好きな企業として見える検定試験も用意した」と、アンケート結果を要約した吉政氏は語った。

  • 吉政創成 代表取締役 吉政忠志氏

「ルーター試験」については、既存のヤマハルーターを利用したVPN構築のガイドブックが教科書に適当であろうとし、書籍掲載の範囲から40問を出題して70%の正解で合格とするという構想も語られた。「40問で70%正解というのは、認定試験としては妥当なところ」と、吉政氏は問題数等を定める基準についても語った。

一方「見える化試験」については、現状適当な教科書になる書籍が存在しないため、これから教科書を作成することになる。しかし問題数、合格に至る正答率などは「ルーター試験」と共通だった。

  • 「ルーター試験」の概要

  • 「見える化試験」の概要

平野氏は「認定試験については何度も議論が行われてきたが、経験豊富な吉政さんが入ってくださったことで話が進むとよいと思っている」と希望を語った上で、「ヤマハネットワークエンジニア会で無料公開しているドリル形式の設問で、文系の営業の方にもTCP/IPの勉強を進めてもらいたい」とも語った。

  • ヤマハ SN事業推進部 国内営業グループ 主幹 平野尚志氏

また、池本氏は「自己流は壁にぶつかりやすいので、客観的な指標が得られるのはいいと思う」と、自己流の勉強と自己評価に止まっている現状に対し、新たな検定試験ができることの意義を語った。

  • 技術評論社 SoftwareDesign編集長 池本公平氏