DJIは10月30日、ドローンを産業用途に活用するユーザーや政府、 教育機関を対象とした高性能な産業用ドローン「MAVIC 2 ENTERPRISE」を発表した。

  • 「MAVIC 2 ENTERPRISE」の外観

    「MAVIC 2 ENTERPRISE」の外観

ドローンを活用して業務に革新を求めるビジネスユーザーを対象にした新ドローンは折りたたみ式でコンパクトなデザインに、高度制御技術と専用のアクセサリーを搭載し、消火活動などの緊急事態への対応やインフラ設備の調査などでの活用を想定。

12MPの高解像度な撮影性能と3軸ジンバルを搭載し、直感的に操作できるようデザインされ、光学2倍ズームとデジタル3倍ズーム、機体に装着するM2E スポットライト、M2E スピーカー、M2E ビーコンなどのアクセサリーを備え、「DJI PILOT」アプリを介して操作できる。

M2E スポットライトは輝度2400ルーメンのデュアルスポットライトで、暗闇や低照度環境下の作業をサポートし、M2E スピーカーは最大出力音量100デシベル(距離1m)の拡声スピーカーでユーザーは最大10種類の録音したカスタム音声を再生できるたという。M2E ビーコンは米国連邦航空局(FAA)の夜間適用免除基準を満たし、最大3マイル先(約5km)からでも目視可能な明るいストロボライトを搭載。

また、重要な業務における写真や動画、フライトログ、そのほかのデータを保護するデータセキュリティ機能を強化しており、24GBの内蔵データストレージとパスワード保護機能を搭載し、ドローンの機能性と保存されたデータへのアクセスを強化。

パスワード保護を有効にしている場合、ドローンの起動時、送信機とドローンの接続時やドローンの内蔵ストレージにアクセスした際に、パスワードの入力が求められることから、ドローンに物理的な障害があった場合でもデータを保護しつつ、ドローンと内蔵データストレージへの安全なアクセスを提供するとしている。

新しく搭載したGPSタイムスタンプ機能は、録画映像ごとに時間と位置情報を記録するため操縦者の報告義務をサポートするとともに、ドローンで撮影したデータの信頼性を向上させ、重要インフラの点検業務や合法的な治安維持に活用することを可能としている。

データセキュリティにさらなる安全性を求めるユーザーは、ローカルデータモード機能を利用することで、ユーザーが接続しているモバイル端末からのインターネットへのデータ送受信を停止でき、重要インフラ設備や行政機関などのプロジェクト、その他慎重な対応が求められる業務に関連した飛行において、オペレーターに安全性を提供するという。

さらに、空域の安全性を高めるAirSense技術を搭載し、機体と一体型のADS-B信号の受信機を使用して、近くにいる航空機やヘリコプターの情報を操縦者に自動で警告することで、DJI PILOTアプリから位置警告をリアルタイムで表示。これにより、過密した空域や複雑なオペレーション(山火事の鎮圧や災害復旧、インフラ設備監視など)で飛行しているオペレーターに安全性を提供するとしている。

加えて、同社のFOC正弦波ドライバーが採用され、約31分の最大飛行時間と72km/hの最大速度を実現。専用の自己発熱型バッテリーで、マイナス10度の厳しい低温環境でも性能を発揮することにほか、最新の動画およびデータ伝送システムであるOcuSync 2.0動画伝送システムを搭載し、ドローンと送信機間の接続性を安定させた。

同システムは、2.4GHzおよび5.8GHzの両周波数帯に対応しており、自動切替にも対応し、アップリンクとダウンリンクのデータストリームに異なる周波数を利用することも可能(日本国内は2.4GHzのみ利用可能)。最大伝送距離は約8km(日本国内では5km)となる。

そのほか、FlightAutonomyシステムは8個の高解像度ビジョンセンサと、 2個の赤外線センサで、安全な飛行を実現する全方向障害物検知を備え、Advanced Pilot Assistance System(APAS:高度操縦支援システム)により、ドローンは自動で前方および後方の障害物を検知・回避するという。