凸版印刷、テクサー、京都高度技術研究所(ASTEM)は28日、LPWAN規格のひとつであるZETA(ゼタ)を活用した、IoTインフラ整備に関する京都スマートシティ化実証事業の連携・協力について協定書を締結。その第一弾として、京都市中央卸売市場において施設内の温度管理、廃棄物の投棄対策、作業車両の動線監視のためのソリューションの検証に取り組むことを発表した。
省電力性と広域性に優れるLPWA(低消費電力広域ネットワーク)の規格のひとつであるZETAは、中継器を多段に経由するマルチホップ形式の通信を行うことで、他のLPWAと比べ、基地局の設置を少なくでき、低コストでの運用が可能な方式として注目されている。
同事業は、ZETAを活用したアプリケーション開発、ZETA通信モジュールを搭載したセンサ・デバイスの開発、地域産業振興、新産業創出、まちづくりなどに関して、相互に連携・協力することにより、地域中小企業の活性化や市民生活の向上など、地域社会の発展を図ることを目的としたもの。
今回、ZETAを活用したIoT導入実証実験の第一弾として実施されるのは、京都市中央卸売市場でのIoT導入実証実験。そのためのIoT向けデータ通信インフラを京都市下京区を中心に整備し、ZETAのアクセスポイントを京都高度技術研究所棟の屋上に設置して周囲約2km~5kmの範囲でZETA無線通信の接続を確認したという。
実証実験では、店舗や倉庫など温度を一定に保つ必要がある区域に複数の温度センサーを設置し、温度を常時モニタリングするとともに、変化が想定を超える場合の警報などのシステムの有効性を検証する。
また、廃棄物の集積を認めていない場所・時間帯に人感センサーなど複数のセンサー類を設置して監視し、投棄や侵入を検知した場合に、警備員に通報するなどの監視システムの有効性を検証する。
加えて、市場内で使用されている運搬等の作業車両に発信器を取り付け、また、市場内の複数箇所に受信器を設置してこれらの移動履歴を分析し、荷さばき場や車両の待機場などの適性配置を特定するという。
今後、三者は、京都市内に整備したZETA通信網を活用し、京都スマートシティー化実証事業を推進し、IoTによる社会課題解決に貢献していくとしている。
なお、10月4日・5日にけいはんなオープンイノベーションセンターにて開催される「京都スマートシティエキスポ2018」の凸版印刷ブースにて、京都スマートシティー構想の内容が展示されるということだ。