日本電気(NEC)は、グローバルでのセーフティ事業拡大を加速するため、米国の生体認証システム企業であるTascent(タシェント)に対して出資し、同社の株式を取得することを発表した。株式の取得完了時期は2018年8月末が予定されている。
近年、さらなるセキュリティ強化のため、マルチモーダル生体認証に対する需要が急速に拡大し、虹彩認証市場についても大幅な成長が見込まれている。
NECは、生体認証技術の開発を40年以上にわたり進めており、同社の生体認証「Bio-IDiom」を活用したシステムは世界70以上の国・地域に700システム以上導入されているという。また、顔認証・指紋認証に加えて本年、虹彩認証についても世界No.1の認証精度を有するとの評価を獲得したということだ。
また、Tascentは2015年に設立され、虹彩認証を中心としたマルチモーダル生体認証システムを提供している。遠隔から高速・正確・高品質に虹彩の画像を取得する光学制御技術や、生体情報の正確な取得のために利用者をスムーズに誘導するUI技術などを有し、これらを活用した製品が世界各国の空港や政府機関、企業などで幅広く活用されている。
NECは今回の出資により、Tascentとの事業連携を強化する。具体的には、同社の光学制御技術やUI技術と、NECの様々な生体認証エンジンを組み合わせて、虹彩認証を活用したマルチモーダル生体認証システムを共同で開発し、パブリックセーフティ市場を中心に提供していくとしている。
なお、同社は2020年度までの3カ年の中期経営計画「2020中期経営計画」において、セーフティ事業をグローバルでの成長エンジンに位置づけ、「NEC Safer Cities」の名称のもとに同事業を強化している。今後も自社でのコア技術やソリューションの開発を推進すると共に、協業やM&Aを通じて新たな顧客基盤、デリバリリソース、コア技術、ビジネスモデルを獲得することで、セーフティ事業を中心に社会ソリューション事業の一層の拡大および収益性向上を目指すとしている。