トレジャーデータは7月18日、プライベートイベント「PLAZMA」を六本木で開催した。基調講演では、X-TANKコンサルティング 代表取締役社長 兼 CEOでジャパンディスプレイ 常務執行役員 CMOも勤める伊藤嘉明氏が「『差異力』デジタルトランスフォーメーションのための武器」と題して講演を行った。
PLAZMAは今年4回計画され、六本木は2月の丸ノ内、5月の虎ノ門に続く3回目の開催となる。4回目は10月15~19日に渋谷(TECH SHIBUYA)で開催される予定だ。
伊藤氏講演も今回で連続3回目となり、「PLAZMA」の定番になりつつある。講演内容は、いずれもVUCA時代をどう生き抜いていくかがテーマとなっている。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったものだ。
伊藤氏はVUCAについて、「一言で言えば、予測不能な時代ということだ」と説明した。
続けて「ただ、半分は予測で可能だ。たとえば、2020年までは政府がバックアップするので景気が良くなるが、それ以降は土地が下がり、企業価値も下がり、これまで以上に買収も進む。これは予測可能だ。そんな中、変動性に対しては行動を起こす、変化を導くことがリーダーに求められている。リーダーシップは役職にある人のものだと思っているかもしれないが、リーダーシップは自分の人生をどうリードしていくかを指している」と語った。
そして、不確実性に対しては、広い視野、異なる視座を持つこと、複雑性に対しては、明快な戦略を出すことや柔軟性かつ創造性を持つこと、曖昧性に対しては、迅速な意思決定をすること、変革者になることが重要だとした。
同氏は、VUCA時代においては、変化しないことがリスクだと訴えている。
「環境変化に対応できないものは絶対に滅びる。東芝、サンヨー、シャープなどの例もあり、自分の会社は絶対につぶれないと思ったら危険だ。アクション起こすことが前提で、変わらないことがリスクだ。15年前にはスマートフォンはなかった。そう考えると、15年前と現在ではスタンダードが違う。デジタルトランスフォーメーションやデジタルマーケティングがわからないというのでは、話にならない。ただ。日本の経営陣はわかっていない。それがリスクだ」(伊藤氏)
同氏は、自分が変革者になるために必要となるのは違和感だという。
「業界の常識、これまでの経験をもとに自分の意見が上司から否定されることに違和感を感じることがあるが、それはKeepしておくべきだ。常識は新しくつくるもので、過去のもでのはない。終身雇用制はパンクした。いろいろな国のスタートアップの人と話をするとみんな2-3個のキャリアを持っている。これからはそうあるべきだ。新しい挑戦をしないことが成長を止める。変化を拒むことがリスクだ。そのときポイントになるのが、「このままでいいのか」という違和感だ。チェンジエージェントに求められるのは、ベースが違和感で、常識を壊すことと、のろしを上げる姿勢だ」(伊藤氏)
そのためには、選択肢をつくり続けること、シミュレーションを徹底すること、コミュニケーション能力を磨くことだという。
「兼業や副業をチャンレジしていくことだ。それがマルチタスクをまわす力になる。シミュレーションでやってはいけないのは、正解を求めることだ。正解はつくるものだ。想定されるパターンを積み上げ、スタックしていくことが重要だ。AIが賢いのは、繰り返し情報をスタックして、それをシミュレーションしているからだ。シミュレーションの選択肢が増えていくからAIは賢い。それを自分でやることだ。そのときに必要になるのが、コミュニケーション力だ。コミュニケーションとは情報の交換だ」(伊藤氏)
そして、重要なことは、自分がやりたいことを言葉にして周りに発信することだという。それが、自分に対するプレッシャーになるからだという。
「不言実行ではだめだ。自分のやりたいことを具体的に言葉にすることだ。それが、ビジョンを実行に移すためのドライバになる」(伊藤氏)