東北大学は7月11日、小児の3年間の縦断追跡データを用いて、頻回のインターネット習慣は、脳の広範な領域に及ぶ灰白質や白質や言語性知能の発達に伴う変化に対して影響していることを明らかにしたと発表した。

同成果は、東北大学加齢医学研究所・認知機能発達寄附研究部門の川島隆太 教授、竹内光 准教授らの研究グループによるもの。詳細は米国の学術誌「Human Brain Mapping」に掲載された

  • インターネット習慣と数年後の言語性知能の変化の関連

    インターネット習慣と数年後の言語性知能の変化の関連 (出所:東北大学Webサイト)

現代の若者は、多くの時間をインターネットに費やすようになっている。若年者における頻回のインターネット習慣は、学業成績の悪さなどと関係するほか、後に抑うつ感や孤独感などの増加につながることが知られていた。

またインターネット中毒の人は、低い実行機能や注意能力、高い衝動性などを示し、さまざまな領域の脳容積が小さいことが知られていた。しかし、これまでの脳画像研究においては、インターネット習慣の影響に関して、認知機能や脳神経メカニズムへの影響が縦断的に研究されていなかった。

今回の研究では、小児の3年間の縦断追跡データを用いて、インターネット習慣が数年後の言語知能や脳の灰白質や白質の容積の変化とどう関連しているかを解析し、健常小児のインターネット習慣とその後の知能や局所脳容積の発達的変化との関連を調べた。

その結果、小児における頻回のインターネット習慣が、言語知能の発達にともなう相対的低下と脳の広範な灰白質白質領域の容積の発達的増加の相対的少なさと関係していることが示唆されたとしている。

  • 初回参加時におけるインターネット習慣と数年後の脳の局所灰白質量の 変化の負相関

    初回参加時におけるインターネット習慣と数年後の脳の局所灰白質量の変化の負相関 (出所:東北大学Webサイト)

なお、今回の成果を受けて研究グループは、発達期の小児の頻回のインターネット習慣には、今後より一層の注意が必要であること考えられるとしている。