NECは6月14日、製造業向けにAI・IoTなどの先進技術を活用して製造ラインをデジタル化する体験スペース「NEC DX Factory(エヌイーシー ディーエックス ファクトリー)」を玉川事業場(川崎市中原区)に開設した。8月より、ユーザー企業に開放される。

  • 玉川事業場内に設置された「NEC DX Factory」

  • 「AI Visual Inspection」に採用されている技術

「NEC DX Factory」には、AGV(Automatic Guided Vehicleの:無人搬送車)の制御ソリューション、撮影画像から工業製品・部品の個体を識別する物体指紋認証技術を活用した「個体識別情報管理ソリューション」、耐騒音性音声認識エンジン、作業指示・作業実績をデータ化・分析する「人作業ナビゲーション」、ウェアラブルデバイスを活用して心拍変動データから感情を可視化する「NEC 感情分析ソリューション」、顔認証技術を活用し、スキル保有者かどうかを判定する「顔認証なりすまし防止ソリューション」、ディープラーニング技術を搭載する「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」を活用した外観検査「AI Visual Inspection」、不審な行動・侵入者を自動検知にて監視業務を効率化する「高度映像解析 行動検知ソリューション」、複数無線経路を仮想化し超高速で経路切替を行う「高信頼無線技術」、モノの動きや滞留を見える化する「SCM Performance Monitoring」などを活用した製造ラインが構築されている。

  • AGVによるパーツの自動搬送

  • 個体を識別する物体指紋認証。基板の側面を測定し物体指紋を登録

  • 登録された物体指紋

  • 作業指示・作業実績をデータ化・分析する「人作業ナビゲーション」。プロジェクトマッピングにより作業指示が出され、「完了」「OK」などの人の声を判別して、工程を次に進める

  • 外観検査「AI Visual Inspection

  • 「AI Visual Inspection」の検査結果

  • 出来高、稼動時間、異常発生状況などの時系列分析

  • 人の作業効率の時系列分析

NECは「NEC DX Factory」を活用して、パートナー企業・団体とともに、ものづくりの工程への新技術の適用検証や新たなソリューションの開発など、より具体的な共創活動を推進。また、顧客に次世代ものづくりを体験してもらいことで、市場環境の変化に強いものづくりを実現するための新しいアイデアや価値の創出に取り組んでいく。

  • 「NEC DX Factory」の用途

NEC 執行役員 松下裕氏は「現在は、ラインの一部でデータを収集し始めているが、今後は、工場をバーチャルに再現し、ライン全体をシュミレーションして、現実世界にフィードバックしていく必要がある」と語った。

  • NEC 執行役員 松下裕氏

「NEC DX Factory」は現在は1ラインのみだが、今後はバリエーションを増やしていく予定。