大日本印刷は6月5日、2地点から撮影したパノラマ写真(静止画)だけで、360度のパノラマVR映像を作成できる技術を開発したと発表した。

今回独自開発した高品位パノラマVR技術は、画像解析(コンピュータビジョン)と描画(コンピュータグラフィックス)の理論を組み合わせ、撮影した2地点間のどの位置からでも人が見る光景を再現できる新しい手法によるもの。

従来の360度パノラマVRは、撮影した位置から360度を見回す表現はできたが、撮影した位置以外から見た光景は表示できなかった。今回の技術では2つの地点で撮影したパノラマ写真に記録された被写体の位置を解析することで、撮影した2地点間の、どの位置からでも360度の光景を再現することができるようになったという。

また、複数の写真を組み合わせた従来の360度パノラマVRは、場面遷移の際に不自然な切り替わりや画像の歪みが発生し、CGで制作したVRのようなスムーズな場面の移動が表現できなかった。しかし、同技術を用いることで、CGで制作したVRと同様に鮮明な画像のまま、2地点間を歩いて移動するような滑らかな場面の移動が表現できるとしている。

  • 2地点の静止画からVRを制作

    高品位パノラマVR導入前(左、青い丸囲い部分に「画像の重なり」が顕著)と、高品位パノラマVR導入後(右、画像の重なりが発生していない)

DNPでは、2018年内に同技術を実用化し、VRコンテンツ制作や配信プラットフォームのサービスの1つとして活用していく。