ESETは5月29日(米国時間)、「UNICEF: Charity campaigns through cryptocurrency mining」において、国際連合児童基金(United Nations Children's Fund; UNICEF:ユニセフ)が資金調達の方法として、仮想通貨である EthereumやMoneroのマイニングを開始していると伝えた。記事では、仮想通貨マイニングをよい側面で利用している例として紹介している。
Ethereumのマイニングを行っているのは、UNICEF Franceによるシリアの子供たちへの支援資金を調達するキャンペーン「Game Chaingers」だ。今年2月にスタートし、3月末で終了している。Moneroのマイニングを行っているのは、4月29日にユニセフ・オーストラリアによって立ち上げられたキャンペーン「TheHopePage」だ。このキャンペーンで得られた仮想通貨は、ミャンマーにおける迫害から逃れるため、バングラディッシュに避難しているロヒンギャ族の難民の支援のための資金となる。
同社は、仮想通貨マイニングを1日中連続して行う場合、消費される電力量やデバイスへのダメージなどを考えるように求めている。例えば、Ethereumのマイニングを行う標準のグラフィックスカードを搭載したコンピュータは約0.16kWhを消費するが、これが高品質のビデオゲームをプレイする時の消費量と同等だという。設定は多少面倒だが、ユニセフが提供していたマイニングツールではプロセッサ消費の割合を変更することが可能だ。
第三者に対して仮想通貨マイニングを実施することについては賛否が分かれる。広告収益に代わる新しい収益源とする向きと、ユーザーに通知することなく勝手に暗号通貨マイニングを実施することはマルウェアと変わらないとする向きがある。これまでの報道は、こうしたグレーゾーンの取り組みを批判的に取り上げることが多かった。
今回、ESETが取り上げた仮想通貨マイニングの事例は技術を適切な用途に使ったものと言える。なお、こうした取り組みは、不正な暗号通貨マイニングキャンペーンにおけるフィッシングサイトなど、すぐにソーシャル・エンジニアリングの対象として悪用されに可能性があるため注意が必要。