約1700社もの企業が出展し、数多くの来場者が詰め掛けた「2018 Japan IT Week春」。自社のビジネスを加速させるソリューションはないかと、様々な業種、様々な立場の人々が真剣な眼差しで各社が趣向を凝らした展示ブースをチェックする姿が、会場となった東京ビッグサイトの至るところで見受けられた。本稿では、「第7回 IoT/M2M展」に意欲的なIoTデバイスを出展していたビッグローブブースの様子をお届けしよう。

  • 「2018 Japan IT Week春」、ビッグローブブースより

    「2018 Japan IT Week春」、ビッグローブブースより

ビッグローブブースでまず眼に飛び込んできたのが、名刺サイズと非常にコンパクトなAndroid IoTデバイスの「BL-02」だ。LTEで単独通信が可能となっており、OSにはAndroid 6.0を採用。無線LANやBluetooth通信、GPSはもちろん加速度やジャイロ、地磁気や気圧センサーを内蔵しているのが特徴的だ。“100通りの課題に100通りの使い方”と紹介されていたように、この「BL-02」はアプリケーションを開発することによって、モノの位置の把握や動線の管理、作業現場管理等を行うことができる。

また、外部のセンサーから情報を「BL-02」に集積しクラウド上へアップロードするゲートウェイとしての利活用や、内蔵されたマイクとスピーカーを用いて翻訳端末としての活用方法も例示されていた。“我が社でもIoTでなにか事業を立ち上げよう”という、これからIoTビジネスに参入する企業にとって、幅広い対応力を持つ「BL-02」は魅力的に映るのではないだろうか。

  • アイディアをカタチにする「BL-02」の概要を示したパネル

    アイディアをカタチにする「BL-02」の概要を示したパネル

  • 「BL-02」に内蔵された各種センサーの情報を用いて動態チェックのデモンストレーションよりひとコマ

    「BL-02」に内蔵された各種センサーの情報を用いて動態チェックのデモンストレーションよりひとコマ

この数年で急激に注目を集めた自動運転など、自動車とICTの組み合わせが脚光を浴びるなか、ビッグローブも運転状況がひと目で把握できるソリューションを展示していた。「さすだけ運行管理」と名付けられたこのソリューションは、車両のOBD(On-board diagnostics/診断)コネクターにワンタッチで接続可能な専用デバイスより、携帯電話回線を通じて速度やアクセル開度、“急”の付くペダル操作などの情報を集積。クラウド上で一元管理することで、ドライバーの運転傾向の見える化を実現してくれるというもの。見える化された運転傾向より、ドライバーへの安全意識向上や燃料費の削減等に寄与してくれるという。

運転傾向の分析の他にも、運行日報や車両稼働管理、地図上に現在の車両位置をプロットする機能やドライバーが急ブレーキを踏んだ地点をプロットするヒヤリハットマップなどがひと目で把握できる機能も有している。昨今、危険運転のリスクからドライブレコーダーに対するニーズが高まっているが、「さすだけ運行管理」と組み合わせることによってより高いリスク低減に繋がるのではと感じさせられた。

  • 「さすだけ運行管理」で用いる専用車載器。非常にコンパクトでSIMを内蔵している

    「さすだけ運行管理」で用いる専用車載器。非常にコンパクトでSIMを内蔵している

  • ドライバーの運転傾向よりレポーティングされた運転成績表の例。走行タイプをオオカミやチーター、ヒツジやシカの動物を例にわかりやすく表現してくれる

    ドライバーの運転傾向よりレポーティングされた運転成績表の例。走行タイプをオオカミやチーター、ヒツジやシカの動物を例にわかりやすく表現してくれる

また、多くの来場者が足を止めていたのがAR技術を用いた遠隔作業支援システムの「VistaFinder Mx」だ。今回の展示では、スマートフォンやタブレット端末などで撮影した映像を生中継する機能に、新たにクラウドを用いることによってより一層の利便性が図られていた。サーバ機能はKDDIテクノロジーによって提供されるため、ユーザー企業はサーバ設置や維持管理の手間を省くことができ、迅速にサービスを導入することが可能となっている。展示コーナーでは、実際に作業者が見ている現場映像に手書きで遠隔地から指示を伝達する様子をデモンストレーションし、体験した来場者から感嘆の声があがっていた。

  • 「VistaFinder Mx」展示コーナーより

    「VistaFinder Mx」展示コーナーより

  • 写真ではわかりづらいかもしれないが、遠隔地側で書き込まれた指示がリアルタイムに現場の作業者に伝達されていた。送信で1端末、受信で1端末というミニマムな構成から導入することが可能となっており、同時に接続する台数に応じてライセンスフィーは最適化される

    写真ではわかりづらいかもしれないが、遠隔地側で書き込まれた指示がリアルタイムに現場の作業者に伝達されていた。送信で1端末、受信で1端末というミニマムな構成から導入することが可能となっており、同時に接続する台数に応じてライセンスフィーは最適化される

KDDIのグループに加わったビッグローブ。今回の出展内容からは、両社それぞれの顧客基盤や事業ノウハウなどを活用することで、KDDIが得意とする通信領域のみならず、決済や物販事業といった非通信領域においてのシナジーの一端を垣間見ることができた。