freeeは5月15日、APIを活用した外部サービス連携を強化し、APIエコノミー形成を目指す新戦略「freee オープンプラットフォーム」構想を発表した。開発者向けのサポート強化や連携サービスの領域を拡大し「クラウド会計ソフト freee」「人事労務 freee」のサービス提供価値向上を目指す。
「freee オープンプラットフォーム」とは、経費精算や勤怠、グループウェアなど、会計/人事労務の領域において、サービスの連携を強化していくという構想。具体的な取り組みとしては挙げたのは「API連携の専任チームの設置」「Developerサイトのリリース」「販売管理領域との連携強化」の3つだ。
取り組みのうち「API連携の専任チーム」では、freeeとの連携を希望するクラウドベンダー向けの説明会や、APIの改善、テクニカルサポートなどを実施することで、API活用のための環境整備を図る。
また、リリースされた「Developerサイト」では、開発者向けのスタートガイドなどの情報を集約したり、コミュニティに登録しているほかのデベロッパーに質問をしたり、といったことが可能だ。
「連携」については、今回、第1弾として、SFA、CRMなど、販売管理領域との連携強化が発表された。
freee 新規ビジネス開発事業部 APIエバンジェリストの水野谷将吾氏は、販売管理領域との連携強化について、「たとえば、営業部の人が請求書を発行する際にfreeeのAPI連携を活用することで、経理へのスムーズなデータ連携が可能になるだけでなく、入出金状況などの連携によって、営業はどの案件が未入金なのか把握できるため、スムーズな入金督促ができるようになる」と、例を挙げて説明した。
今回連携が強化されたパートナー企業は、セールスフォースドットコム、サイボウズ、ゾーホージャパン、日本オプロ、ジオコード、トレードシフトジャパン、レッドフォックス、三和システムの8社。たとえば、営業支援(SFA)ツール「cyzen(サイゼン)」を提供するレッドフォックスとの連携では、「cyzen」と「クラウド会計ソフト freee」とのAPI連携により、債権・入金消込などの状況を、営業担当者のスマートフォンにリアルタイムでプッシュ通知ができるようになるという。
freee クラウドERP事業部 本部長 兼 金融プラットフォーム事業本部 本部長の尾形将行氏は「BtoBサービスでは、外部向けに公開されたPublic APIはあまり多くない。しかし、我々はクラウド会計 freeeのローンチ直後からPublic APIとして公開してきており、POSレジやEC、金融機関などとの連携事例も増えてきた。今回の構想では、Public APIの領域を広げていくだけでなく、APIの活用促進も進めたい」と、展望を語った。
freee 代表取締役の佐々木大輔氏は「直近5年間で国内のクラウド利用率は2倍以上に成長した。かつてGoogleカレンダーなどの限定されていた用途から、会計や人事、販売管理へと広がりを見せている。しかし、クラウド活用が進んだことで、特定の部署やチーム単位に閉じたデータの利用が増加。システム間のデータをAPI連携によって全社最適化することが求められるようになってきている」と、クラウドの普及に伴うAPI連携の必要性を述べた。
社内で部署や機能ごとに異なるクラウドサービスを使っているだけでは、データの連携がスムーズに行うことができない。転記や出力といった作業が発生する可能性すらあるだろう。そこで、APIによるシームレスなデータの連携が必要になってくるというわけだ。