,Planetway Corporation 代表取締役 CEO&Founder 平尾憲映氏

Planetway Corporationは5月9日、エストニア共和国の国民番号制度を支えるデータ連携技術に独自開発を加えたプラットフォームを活用し、データ個人主権の回帰とデータ利活用を後押しする2つの新事業を発表した。

2つの新事業とは、Open Innovation Platform事業である「PlanetEco」とサイバーセキュリティ人材育成事業「PlanetGuardians」だ。

「PlanetEco」は、データ連携基盤「PlanetCross」と個人認証基盤「PlanetID」を共通基盤としている。PlanetCrossは、エストニア共和国のデータ連携基盤「X-Road」をベースに、PlanetIDは同国の「Citizen ID」「e-Residency ID」をベースに、同社が民間企業向けにカスタマイズして提供するものだ。

エストニアは、行政サービスの99%がオンラインで完結するなど電子政府化が進んでいるが、「PlanetEco」では最高レベルの安全性が求められる同国の行政を支える技術を活用するというわけだ。

代表取締役 CEO&Founderの平尾憲映氏は、「PlanetCross」を支える技術として、クラウドサービス向けの「Service Module」、データベース向けの「Database Module」、Planet Crossのエンジン、インターネットを挙げた。Planet Crossのエンジンは一切データを持たず、ログの管理のみ行うという。データはクラウドサービスや各種データベースに保存されている。

平尾氏は、PlanetCrossについて、「PlanetCrossはインターネットから利用でき、VPNや閉域網を用意しなくても、セキュアな環境を実現する」と述べた。

PlanetIDは、ユーザーやIoT機器などに付与されるユニバーサルなIDで、なりすましを防止するとともに、個人が自身の情報をコントロールすることを可能にする技術だ。

これら2つの技術によって、「個人が自分のどのデータを誰に提示するかを許諾すること」「電子認証/署名、タイプスタンプにより、本人確認とデータの完全性を確保すること」を実現している。

  • 「PlanetCross」と「PlanetID」が実現する安全な情報連携基盤の仕組み

「PlanetEco」では、この2つの技術を活用することで、特定のテーマの下、各社・団体と協力して、オープン・イノベーションによる新たなサービス開発を目指す。サービス開発の対象領域としては、「ヘルスケア・メディカル」「不動産・スマートシティ」「金融・フィンテック」「自動車・シェアリング」の4つが予定されている。

Planetwayは、プログラムに参加する企業や団体に対し、PlanetCrossおよびPlanetIDの導入や技術支援を行う。

  • 「PlanetEco」の仕組み

一方、「PlanetGuardians」は、同社の役職員として在籍する、世界の情報/諜報機関に対するセキュリティアドバイザー経験を有する人材を軸とした、ホワイトハッカーおよびセキュリティ人材の育成プログラムだ。同社のCISO(Chief Information Security Officer 最高情報セキュリティ責任者)には、NATOサイバーテロ防衛機関 シニアフェローの経験を持つヤーン・プリッサル氏が就いているほか、インターポールのセキュリティアドバイザーである、ラウリ・コルツパルン氏をアドバイザーリーボードとして迎えている。

平尾氏は、「テクノロジーだけでセキュリティを提供することはできない。人の手を介して、安心安全を提供していく必要がある。ホワイトハッカーを育成して、情報を公開できる仕組みを作っていきたい」と語った。

エストニア共和国 IT・企業大臣 Urve Palo氏

発表会には、エストニア共和国 IT・企業大臣 Urve Palo氏も参加し、スピーチを行った。

「エストニアがインスプレーションとなって、日本をはじめとする世界の課題解決に役立てることは光栄。X-Roadは安全なデータ交換層を持っているので、データを連携する際に手間を省くことができる。現在、900の組織、企業がX-Roadを利用している。2016年は、X-Roadによって800万ドルを削減したが、このインパクトは大きい。日本とエストニアには共通点がある。それは、技術力を持っている一方、労働人口の減少に直面していることだ。この課題を解決していくには、チャンレジが必要だと思う。セキュリティの課題は技術だけでは解決できない。PlanetGuardiansを通じて、エストニアの経験を共有していきたい」と述べた(Palo氏)。

発表会には、同社と協業している東京海上日動火災(稲葉茂 常務取締役)、三井不動産(北原義一 代表取締役)、アクセンチュア(江川昌史 代表取締役社長)、凸版印刷(麿秀晴 専務取締役)、大日本印刷(蟇田栄 専務執行役員)、三菱UFJ銀行(林尚見 常務執行役員)、三井住友銀行(谷崎勝教 取締役兼専務執行役員)、みずほ銀行(大櫃直人 執行役員)、日本ユニシス(小西宏和 常務執行役員)が参加し、同社の事業に対する期待を語った。